一般社団法人・NPO法人・財団法人の違いと選び方|設立の相談

任意団体として続けてきた活動を法人にしようと考えたとき、最初に迷うのが「一般社団法人・一般財団法人・NPO法人のどれにするか」です。3つとも、利益を構成員に分配しない非営利の法人です。ただし、設立に必要な人数や財産、行政の認証が要るかどうか、設立後の運営の負担はそれぞれ違います。

このページでは、3つの法人形態の違いを比較表で整理し、活動内容に合わせた選び方、費用と期間の目安、相談の前にまとめておきたい4つの項目を説明します。どの法人にするか決まっていない段階でも、ご相談いただけます。

法人形態は「人・財産・行政の認証」の3点で選ぶ

一般社団法人・一般財団法人・NPO法人のどれが合うかは、「誰が集まって運営するか(人)」「何を元手にするか(財産)」「行政の認証を受けて活動するか」の3点でおおよそ決まります。

一般社団法人

2人以上の人が集まり、会員(法律上は「社員」と呼びます)で運営する法人。行政の認証は不要で、公証人による定款の認証と設立登記で成立します

一般財団法人

設立者が300万円以上の財産を出し、その財産を決めた目的のために使い続ける法人。人の集まりではなく、財産が法人の土台になります

NPO法人

法律が定める20分野の活動(特定非営利活動)を主な目的とし、10人以上の社員で運営する法人。所轄庁(神戸市内だけに事務所を置く場合は神戸市)の認証を受けてから設立登記をします

3つとも、利益を社員や設立者に分配できない点は同じです。ただし、事業で収益を上げることや、役員・職員が報酬や給与を受け取ることまで禁じられているわけではありません。この違いは後半の「非営利法人でも収益や給与を得られる?」で説明します。

なお、NPO法人は一般社団法人の一種ではなく、特定非営利活動促進法という別の法律にもとづく法人です。一般社団法人の設立条件や費用は、一般社団法人の設立条件と費用のページで詳しく説明しています。

一般社団法人・一般財団法人・NPO法人の比較表

3つの法人形態の主な違いを、設立時と設立後に分けて表にまとめました。人数は役割ごとの最低人数で、合計人数ではありません。1人が社員と理事を兼ねられる場合もあります。

項目一般社団法人一般財団法人NPO法人
法人の土台人の集まり(社員)拠出された財産人の集まり(社員)
活動内容一般法人法上の分野の限定なし一般法人法上の分野の限定なし20分野の特定非営利活動が主目的
設立時に必要な人社員2人以上・理事1人以上設立者1人以上・評議員3人以上・理事3人以上・監事1人以上社員10人以上・理事3人以上・監事1人以上
必要な財産最低額なし300万円以上の拠出最低額なし
定款の認証(公証人)必要必要不要
行政の認証不要不要所轄庁の認証が必要
設立登記必要(登記で成立)必要(登記で成立)必要(認証後の登記で成立)
設立後の報告・公開貸借対照表の公告貸借対照表の公告毎年、事業報告書等を所轄庁に提出し、一般に公開。貸借対照表の公告も必要
法人税非営利型法人の要件を満たせば収益事業のみ課税非営利型法人の要件を満たせば収益事業のみ課税収益事業のみ課税

表のとおり、設立の手軽さだけで比べると、少人数で始められ、行政の認証も不要な一般社団法人が身軽です。一方、NPO法人は社員を10人以上集め、所轄庁の認証を受ける必要があります。そのかわり、活動の内容や会計が公開されるため、法人としての透明性を外部に示しやすい形です。

どの法人形態が活動に合う?

会員で運営する活動なら一般社団法人、まとまった財産を目的のために使い続けるなら一般財団法人、公益的な活動を多くの人と行い、行政の認証と情報公開に対応できるならNPO法人が候補になります。

ただし、活動の分野だけでは決まりません。たとえば子どもの健全育成やスポーツの振興は、NPO法人の20分野に含まれます。一方で、一般社団法人の目的として行うこともできます。どちらにするかは、集まる人数、行政の認証を受けるかどうか、設立後にどこまで情報を公開するかで判断します。

会員が集まって運営するなら一般社団法人

一般社団法人は、社員(会員)が集まる社員総会で重要なことを決め、理事が日々の業務を行う法人です。業界団体、資格や検定の運営団体、同窓会、地域の活動団体など、会員に共通する利益のための活動にも、公益的な活動にも使えます。社員には個人だけでなく会社などの法人もなれるため、複数の企業が集まって団体を作る場合にも向いています。

行政の認証が不要なので、定款を作成して公証人の認証を受け、設立登記を申請すれば法人として成立します。3つの形態の中では、準備を始めてから設立までの期間が短く、少人数で始められます。

拠出した財産で目的を続けるなら一般財団法人

一般財団法人は、設立者が拠出した財産を、奨学金の給付や研究の助成、文化財の保存など、定款で決めた目的のために使い続ける法人です。設立者が生前に設立するほか、遺言で設立の意思を示し、亡くなった後に遺言執行者が手続きをする方法もあります。

設立には、300万円以上の財産の拠出と、評議員3人以上・理事3人以上・監事1人以上が必要です。評議員は理事や監事を兼ねられず、監事も理事を兼ねられないため、少なくとも7人の役員等を集めることになります。また、2期続けて貸借対照表上の純資産額が300万円を下回ると、法人は解散します。設立時だけでなく、その後も財産を維持できるかを考えておく必要があります。

特定非営利活動を行い、認証と情報公開に対応するならNPO法人

NPO法人は、保健・医療・福祉、まちづくり、子どもの健全育成、環境の保全など、法律が定める20分野の活動を主な目的とし、不特定かつ多数の人の利益のために活動する法人です。社員の入会や退会に不当な条件を付けることはできず、活動に賛同する人を広く受け入れる形になります。

設立には社員10人以上と、理事3人以上・監事1人以上の役員が必要です。報酬を受け取る役員は、役員総数の3分の1以下に限られます。また、役員に配偶者や3親等以内の親族が多く含まれないようにする決まりもあります。所轄庁の認証を受けたあとも、毎年の事業報告書などを提出し、一般に公開されます。設立後の報告の負担は、3つの中で最も大きい形態です。

非営利法人でも収益や給与を得られる?

得られます。非営利とは「利益を出さない」という意味ではなく、「出た利益を社員や設立者に分配しない」という意味です。

株式会社は、事業で得た利益を株主に配当として分配できます。一般社団法人・一般財団法人・NPO法人は、利益が出ても社員や設立者に分配できません。利益は法人に残り、次の活動に使います。定款で、社員や設立者に残った財産の分配を受ける権利を与えることもできません。

事業で収益を上げることはできる

一般社団法人と一般財団法人は、一般法人法上、行える事業の分野に限定がありません。会費や寄付だけでなく、講座の受講料や商品の販売など、対価を受け取る事業も行えます。ただし、事業の内容によっては、その事業ごとの許認可や法律の規制を別に受けます。

NPO法人も、特定非営利活動そのものとして、講座の受講料やサービスの利用料などの対価を受け取れます。さらに、特定非営利活動に支障がない範囲で、それ以外の事業(NPO法では「その他の事業」と呼びます)も行えます。その他の事業で利益が出たときは特定非営利活動に使う必要があり、会計も特定非営利活動の会計と分けて管理します。

役員の報酬や職員の給与も支払える

理事などの役員に報酬を支払うことも、職員を雇って給与を支払うこともできます。一般社団法人・一般財団法人では、理事の報酬は定款で額を定めるか、社員総会(財団は評議員会)の決議で決めます。

NPO法人では、役員として報酬を受け取れる人は、役員総数の3分の1以下に限られます。ただし、役員が職員を兼ね、職員としての仕事の対価として受け取る給与は、この役員報酬には当たらないとされています。なお、監事は職員を兼ねられません。

代表者や中心メンバーが法人から収入を得ながら活動を続けたい場合は、どの形態で、どの立場(役員か職員か)として受け取るかを、設立前の定款づくりの段階で決めておきます。

設立にかかる費用と期間の目安

設立の費用は、公証人や法務局に支払う実費と、専門家に依頼する場合の報酬に分かれます。一般財団法人では、これとは別に300万円以上の財産の拠出が必要です。拠出した財産は法人の財産として活動に使うもので、手続きの費用ではありません。

設立時の実費(法定費用)

費用項目一般社団法人一般財団法人NPO法人
定款認証の手数料50,000円50,000円不要
設立登記の登録免許税60,000円60,000円不要
定款の謄本代など数千円程度数千円程度—
実費の合計(目安)約11万円〜約11万円〜
(別に拠出財産300万円以上)
ほぼかからない

このほか、法人の印鑑の作成費用や、登記事項証明書・印鑑証明書の取得費用がかかります。NPO法人は定款認証と登録免許税が不要なので実費はほとんどかかりませんが、そのかわり認証の手続きに時間がかかります。

設立までの期間

形態主な流れ期間の目安
一般社団法人定款作成 → 公証人の認証 → 設立登記準備が順調に進んだ場合で、ご依頼から2〜3週間程度
一般財団法人定款作成 → 公証人の認証 → 財産の拠出 → 設立登記準備が順調に進んだ場合で、ご依頼から2〜3週間程度(財産の拠出に時間がかかると延びます)
NPO法人書類作成 → 所轄庁へ申請 → 縦覧2週間 → 認証の決定(縦覧後2か月以内)→ 2週間以内に設立登記申請から認証まで最長で約2か月半。書類作成と登記を含め、順調に進んだ場合で3〜4か月程度

期間は、役員になる人の選定や定款の内容の検討にかかる時間によって変わります。表の期間は準備が順調に進んだ場合の目安で、法人の目的や機関の設計を決めるのに時間がかかると、さらに延びることがあります。

一般社団法人と一般財団法人は、設立登記を申請した日が法人の設立日になります。NPO法人は、所轄庁の認証を受けた日から2週間以内に登記を申請します。神戸市内だけに事務所を置くNPO法人の場合、申請の前に神戸市の窓口への相談と、提出日の予約が必要です。

手続きの流れや必要書類は形態ごとに違います。一般社団法人の詳しい手順と費用は、一般社団法人の設立条件と費用で説明しています。

当事務所の報酬は、法人の形態や手続きの範囲をうかがったうえでお見積りします。

設立費用のお見積りもご相談ください

法人の形態と手続きの範囲をうかがい、実費と報酬を含めたお見積りをお出しします。事務所またはオンラインでご相談いただけます。

法人化した後に続く運営と税務

どの形態でも、設立後は毎年の決算と総会(評議員会)、役員の任期ごとの選任、登記の内容が変わったときの変更登記が続きます。形態を選ぶときは、こうした運営を続けられるかも判断材料になります。

毎年の総会と決算

一般社団法人は毎事業年度の終了後に定時社員総会を、一般財団法人は定時評議員会を開き、決算を承認します。承認した貸借対照表は公告する必要があります。NPO法人も社員総会で決算を承認し、毎事業年度の初めから3か月以内に、事業報告書・計算書類・財産目録などを所轄庁に提出します。提出した書類は、所轄庁で一般に公開されます。

役員の任期と変更登記

一般社団法人・一般財団法人の理事の任期は、原則として選任後2年以内に終わる事業年度に関する定時総会(財団は定時評議員会)までです。監事と一般財団法人の評議員の任期は、原則4年です。同じ人が再任される場合でも、任期が来るたびに役員の変更登記が必要です。登記事項に変更があったときは、2週間以内に変更登記を申請します。

NPO法人は、役員が変わったときに所轄庁への届出が必要です。法人の目的や名称などを変える定款変更には、所轄庁の認証を受けなければならないものもあります。

税金と届出

法人を設立したら、税務署・県税事務所・市役所に設立の届出をします。法人税は、NPO法人と非営利型法人の要件を満たす一般社団法人・一般財団法人であれば、収益事業から生じた所得にだけかかります。この「収益事業」は法人税法上の分類で、NPO法の「その他の事業」とは別のものです。NPO法人が特定非営利活動として行う事業でも、法人税法上の収益事業に当たれば課税されます。非営利型法人に当たらない一般社団法人・一般財団法人は、株式会社と同じように、すべての所得が法人税の対象になります。

ただし、収益事業がなくても法人住民税の均等割がかかるのが原則で、減免の扱いは自治体ごとに異なります。消費税も、法人税とは別に、売上の内容と金額で納める義務の有無が決まります。法人の税務は個別の判断が必要なため、具体的な扱いは税理士に確認してください。当事務所では、必要に応じて税理士をご紹介します。

公益法人・認定NPO法人は設立とは別の制度

公益社団法人・公益財団法人や認定NPO法人は、最初から設立する法人ではありません。一般社団法人・一般財団法人やNPO法人として設立したあと、行政庁や所轄庁の認定を受けて名乗れるようになる法人です。

認定の種類認定を受けられる法人認定する機関
公益社団法人・公益財団法人公益目的事業を行う一般社団法人・一般財団法人行政庁(内閣総理大臣または都道府県知事)
認定NPO法人運営と活動が適正で、公益の増進に役立つNPO法人所轄庁

認定を受けると、法人に寄付をした人が税制上の優遇を受けられるなど、寄付を集めやすくなります。その一方で、公益法人は公益目的事業の割合や財務について基準を満たし続ける必要があり、行政庁の監督も受けます。公益認定の申請は、設立の時期にかかわらず行えるため、設立直後でも必要な書類がそろえば申請できます。これに対し認定NPO法人は、広く市民から支援を受けていることなどの基準を満たし、原則として一定期間の活動実績を示す必要があります。

設立の段階で、認定を受けるかどうかまで決めておく必要はありません。将来、公益法人をめざすなら一般社団法人・一般財団法人、認定NPO法人をめざすならNPO法人で設立しておくと、認定までの道筋がつながります。

相談前に整理しておく4項目

法人の形態が決まっていなくても、次の4つが分かれば、どの形態が合うかを具体的に検討できます。すべてが決まっている必要はありません。分かる範囲でお知らせください。

活動の内容と目的

誰のために、どんな活動をするのか。会員のための活動か、地域や社会に広く向けた活動か。会費・受講料・商品の販売など、収入を得る事業を予定しているか

人数と役割

一緒に法人を作るメンバーの人数。代表者や理事・監事になってもらえる人がいるか。個人のほかに会社などの法人が加わるか

資金と財産

設立費用と当面の活動資金をどう用意するか。法人に拠出できる財産があるか。任意団体として持っている預金や備品、契約を法人に引き継ぐ予定があるか

開始したい時期

いつまでに法人として活動を始めたいか。助成金の申請や契約の締結など、期限が決まっている予定があるか

開始時期に期限がある場合は特に、早めにご相談ください。NPO法人は認証の手続きに数か月かかるため、期限によっては一般社団法人で設立する方が間に合うこともあります。

当事務所の解決事例

当事務所では、一般社団法人・一般財団法人・NPO法人のいずれも設立をお手伝いしてきました。その中から2つの事例を紹介します。

非営利法人の設立 解決事例
一般社団法人 設立登記

子どもたちへのスポーツ活動で青少年の健全育成を図る一般社団法人を設立

地域の子どもたちにスポーツ活動の場をつくり、青少年の健全育成を図ることを目的とした一般社団法人の設立です。子どもの健全育成やスポーツの振興はNPO法人の活動分野にも含まれますが、この事例では一般社団法人として設立しました。定款の作成から設立登記まで、当事務所がお手伝いしています。

NPO法人 認証申請 設立登記

複数の会社が集まり、地元への社会貢献を行うNPO法人を設立

複数の会社が集まり、地元への社会貢献を目的としたNPO法人を設立した事例です。所轄庁への設立認証の申請から、認証後の設立登記まで、当事務所が一貫して手続きを行いました。

よくある質問

Q
少人数で始めるなら、どの法人がよいですか?
A

少人数で始めるなら一般社団法人が候補になります。設立時の社員は2人以上で、理事は1人以上置けばよく、社員が理事を兼ねることもできます。NPO法人は社員10人以上と理事3人以上・監事1人以上、一般財団法人は評議員・理事・監事として少なくとも7人が必要です。

Q
一般社団法人から、NPO法人や公益法人に移ることはできますか?
A

公益法人には、一般社団法人のまま行政庁の公益認定を受けて移ることができます。一方、一般社団法人をNPO法人にそのまま変える制度はありません。NPO法人にしたい場合は、新たにNPO法人を設立し、活動や財産を移すことになります。財産や契約は自動的には移らないため、それぞれ個別の手続きと税務の確認が必要です。将来の方向性も含めて、設立の段階で形態を検討しておくことをおすすめします。

Q
任意団体の預金や契約は、法人に引き継げますか?
A

引き継げますが、法人を設立しただけで自動的に移るわけではありません。法人は任意団体とは別の存在になるため、預金は法人名義の口座を開いて移し、契約は相手方と話し合って法人との契約に切り替えます。財産を移すときの税金の扱いは内容によって異なるため、税理士への確認が必要です。

Q
一般社団法人とNPO法人では、税金はどちらが有利ですか?
A

形態の名前だけでは決まりません。NPO法人の法人税は収益事業から生じた所得にだけかかります。一般社団法人も、定款と実際の運営が非営利型法人の要件を満たせば同じ扱いになり、満たさなければすべての所得が対象になります。住民税の均等割や消費税は別に判断されるので、具体的な扱いは税理士に確認してください。

Q
法人の種類が決まっていなくても、相談できますか?
A

ご相談いただけます。活動の内容と目的、人数と役割、資金と財産、開始したい時期の4点をうかがい、どの形態が合うかを一緒に検討します。すべてが決まっていなくても、分かる範囲でお知らせください。

法人形態と設立手続きのご相談

当事務所では、法人の形態選びから設立登記まで、次の範囲でお手伝いしています。

  • 活動の内容・人数・資金をうかがい、一般社団法人・一般財団法人・NPO法人のどれが合うかを検討
  • 一般社団法人・一般財団法人:定款の作成、公証人による定款認証の手続き、設立登記の申請
  • NPO法人:所轄庁への設立認証の申請書類の作成・提出から、認証後の設立登記まで一貫して対応
  • 設立後の役員変更・定款変更などの変更登記

法人税や消費税など税務の判断が必要な場合は、税理士と連携して進めます。

法人の種類が決まっていない方もご相談ください

活動の内容と人数、資金を整理しながら、どの法人形態が合うかを一緒に検討します。事務所での面談のほか、遠方の方や外出が難しい方はオンラインでもご相談いただけます。

オンライン相談にも対応しています