経営管理ビザの要件|2025年改正後の資本金・雇用・日本語要件を解説

日本で会社を設立して経営者になろうとする外国人の方が取得する在留資格が「経営・管理」、いわゆる経営管理ビザです。この経営管理ビザは、2025年10月16日に施行された基準の改正により、資本金や雇用、日本語能力などの要件が大きく変わりました。インターネット上には「資本金500万円あれば取得できる」といった改正前の情報も多く残っており、正しい要件がわかりにくくなっています。このページでは、改正後の経営管理ビザの要件、申請の流れ、更新時の経過措置、そして会社設立の登記手続きとの関係までを、神戸で会社設立登記と在留資格申請の両方を扱う司法書士・行政書士がわかりやすく整理します。

会社設立と経営管理ビザの取得を一緒に検討したい方は、お電話(078-262-1691)またはお問い合わせフォームからご相談いただけます。要件を満たせる会社の作り方から一緒に整理します。

経営管理ビザとは

経営管理ビザとは、日本で事業の経営や管理を行う外国人のための在留資格「経営・管理」の通称です。会社の社長や取締役として事業の重要な意思決定を行う経営者や、部長・工場長・支店長のように内部組織の管理業務を実質的に担う人が対象になります。日本で会社を設立して自ら経営する外国人の方は、この在留資格の取得を目指すのが一般的です。

注意したいのは、会社を設立する登記手続きと、経営管理ビザの審査は、まったく別の手続きだという点です。法務局で会社の設立登記が完了しても、それだけで日本に滞在して経営できる在留資格が得られるわけではありません。会社という「器」を作る手続きと、その経営者として日本に在留する資格を得る手続きは、根拠となる法律も審査する役所も異なります。会社設立の登記は司法書士、在留資格の申請は行政書士がそれぞれ専門とする業務です。

なお、外国人の方でも「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の在留資格をお持ちであれば、活動に制限がないため、経営管理ビザを新たに取得しなくても日本で会社を経営できます。これらの在留資格をお持ちでない場合に、経営管理ビザの取得が必要になります。

企業内転勤・技術・人文知識・国際業務との違い

経営管理ビザは、あくまで事業の経営者・管理者のための在留資格です。経営や管理ではなく、従業員として日本で就労する場合は、別の在留資格を取得します。外資系企業の本社から日本の支店や子会社に派遣されて働く場合は「企業内転勤」、専門的な技術や知識を用いて働く場合は「技術・人文知識・国際業務」が該当します。ご自身が経営者として関わるのか、従業員として働くのかによって、目指す在留資格が変わる点に注意が必要です。

2025年10月16日改正で経営管理ビザは何が変わった?

経営管理ビザは、2025年10月16日に施行された上陸基準省令等の改正により、要件が大きく厳格化されました。これから申請する方は、改正後の基準を前提に準備を進める必要があります。改正前と改正後で、主な要件は次のように変わっています。

要件改正前改正後(2025年10月16日〜)
資本金・出資総額500万円以上、または常勤職員2名以上のいずれか3,000万円以上(法人の場合)
常勤職員の雇用資本金要件を満たせば不要1名以上の雇用が必須
日本語能力要件なし申請者または常勤職員のいずれかがCEFR B2相当以上
経歴特に定めなし関連分野の博士・修士・専門職学位、または3年以上の経営・管理経験
事業計画書提出は必要(専門家の確認は不要)提出に加え、中小企業診断士・公認会計士・税理士による確認が必要

特に大きな変更が、資本金の基準が500万円から3,000万円へと6倍に引き上げられた点です。あわせて、これまでは任意だった常勤職員の雇用が必須となり、日本語能力や経歴、事業計画書の専門家確認といった新しい要件も加わりました。会社の設立自体のハードルが上がったわけではありませんが、経営管理ビザを取得するために求められる事業の規模・体制は、改正前より格段に高くなっています。

この改正は、これから新規に申請する方に適用されます。すでに経営管理ビザで在留している方の更新については、経過措置が設けられています。詳しくは後述の「更新申請と2028年10月16日までの経過措置」で説明します。

2025年改正後の経営管理ビザの主な要件

2025年10月16日改正後の経営管理ビザで求められる主な要件は、次の6つです。いずれも許可の判断に直結するため、申請前にご自身の事業がどこまで満たせるかを確認しておきましょう。

資本金・出資総額3,000万円以上

法人で経営管理ビザを申請する場合、株式会社の資本金額または合同会社などの出資総額が、3,000万円以上であることが求められます。改正前の500万円から大幅に引き上げられた、今回の改正の中心となる要件です。この3,000万円は事業に投下される資本であり、役員報酬や事務所の維持費などを合算して満たすことはできません。個人事業として申請する場合は、事業所の確保、1年分の従業員給与、設備投資など、事業に投下された財産の総額で判断されます。

常勤職員1名以上の雇用

改正後は、原則として常勤職員を1名以上雇用することが必須となりました。ここでいう常勤職員は、日本人、特別永住者、または「永住者」「日本人の配偶者等」などの身分・地位にもとづく在留資格を持つ人に限られます。単に人を雇えばよいわけではなく、雇用する人の在留資格まで含めて確認が必要です。

日本語能力(CEFR B2相当以上)

申請者本人、または雇用する常勤職員のいずれかが、CEFR(外国語の運用能力を示す国際的な指標)のB2相当以上の日本語能力を持っていることが求められます。B2は、日常的な話題から専門的な内容まで、ある程度自在にやり取りできるレベルの目安です。申請者本人がこの水準に達していない場合は、条件を満たす常勤職員を確保するという方法も考えられます。なお、日本語能力要件でいう常勤職員の範囲は、先ほどの雇用要件の常勤職員とは取扱いが異なる場合があります。どの組み合わせで要件を満たせるかは、個別に確認することをおすすめします。

経歴要件(学位または3年以上の経営・管理経験)

申請者には、経営・管理または申請する事業に必要な分野での、博士・修士・専門職の学位を持っているか、あるいは事業の経営・管理について3年以上の経験があることが求められます。学歴か実務経験のいずれかで、事業を経営・管理する能力があることを示す必要があります。

事業計画書の専門家確認

事業計画書は改正前から申請に必要な書類でしたが、改正後は、その内容について中小企業診断士・公認会計士・税理士による確認を受けることが義務づけられました。事業の実現可能性や継続性について、第三者の専門家のチェックを受けることが新たに求められるようになりました。なお、確認を行える専門家は今後変更される可能性があるため、申請時には最新の出入国在留管理庁の情報を確認してください。

事業所要件(自宅兼事務所は原則不可)

経営管理ビザでは、事業を行うための独立した事業所を日本国内に確保していることが必要です。住居と事業所を兼ねた自宅兼事務所は、原則として認められません。事業用として独立したスペースであることや、看板・設備など事業所としての実体があることが確認されます。賃貸物件の場合は、事業用として使用できる契約になっているかにも注意が必要です。

旧500万円基準は今も使える?

結論として、これから新規に経営管理ビザを申請する場合、旧来の「資本金500万円」の基準はそのままでは使えません。2025年10月16日以降の申請には、原則として資本金・出資総額3,000万円以上という現行の基準が適用されます。

インターネット上や書籍には、いまも「資本金500万円あれば経営管理ビザが取得できる」という改正前の情報が数多く残っています。これらは改正前の基準を前提とした情報であり、そのまま信じて準備を進めると、実際の申請時に要件を満たせないおそれがあります。経営管理ビザの資本金として「500万円」という数字を見かけたら、改正前の古い情報である可能性が高いと考え、必ず現行の基準を確認するようにしてください。

経営管理ビザの要件は、改正のように制度変更が起こりやすい分野です。準備を始める際は、出入国在留管理庁の最新の公式情報を確認するか、行政書士など在留資格の専門家に、その時点での基準を確認することをおすすめします。

経営管理ビザ申請の流れ

経営管理ビザの取得は、事業計画の整理から始まり、会社設立や事業所・雇用などの準備を整えたうえで、在留資格の申請を行うという流れが基本です。改正後は求められる要件が増えているため、準備段階での設計がこれまで以上に重要になっています。一般的な流れは次のとおりです。

1
事業計画と要件の整理

どのような事業を行うのか、資本金・出資総額をどう確保するのか、常勤職員をどう雇用するのか、事業所をどこに確保するのかなど、改正後の要件を満たせる事業設計を整理します。事業計画書は専門家の確認が必要になるため、早い段階から準備します。

2
会社の設立(資本金の払込み・設立登記)

事業計画にもとづき、株式会社や合同会社などを設立します。資本金・出資総額3,000万円以上という要件を踏まえた資本政策を立て、発起人の口座に資本金を払い込んだうえで、設立登記を申請します。会社の設立登記は司法書士が担当します。

3
事業所の確保・雇用・届出・許認可

独立した事業所を確保し、常勤職員を雇用します。税務署への届出や、事業に必要な許認可の取得も、このタイミングで進めます。

4
在留資格の申請

海外から呼び寄せる場合は在留資格認定証明書交付申請、日本国内で在留資格を変更する場合は在留資格変更申請を行います。在留資格の申請は行政書士が担当します。

5
審査

提出した書類にもとづき、事業の実体や要件への適合が審査されます。追加の資料を求められることもあります。

6
在留資格の取得・事業開始

申請が認められると在留資格を取得でき、日本で事業の経営を始められます。取得後も、事業の継続や公租公課の履行などが、その後の更新時に確認されます。

ここで知っておきたいのが、経営管理ビザは、原則として会社を設立し、事業所・資本金・雇用などの実体を整えてから申請するという点です。経営管理ビザは、事業の実体が整っていることを前提に審査されるため、先に会社設立などの準備を進めるのが基本的な順番になります。ただし例外として、自治体などが実施するスタートアップビザ(在留資格「特定活動」)の制度を利用する場合は、先に在留資格を取得し、一定の準備期間内に事業や要件を整えてから経営管理ビザへ変更する、という進め方もあります。申請者が現在海外にいるか日本にいるか、スタートアップビザを利用するかどうかによって最適な段取りは変わるため、会社設立の登記と在留資格の申請の両方を見据えて、早い段階で全体の流れを設計しておくことが大切です。

在留資格認定証明書交付申請と在留資格変更申請の違い

経営管理ビザの申請方法は、申請者が今どこにいるかによって、大きく2つに分かれます。海外にいる経営者を日本に呼び寄せる場合は「在留資格認定証明書交付申請」、すでに日本にいる方が別の在留資格から変更する場合は「在留資格変更申請」を行います。ご自身がどちらに当てはまるかを確認しておきましょう。

項目在留資格認定証明書交付申請在留資格変更申請
対象となる人海外にいる外国人経営者等を、これから日本に呼び寄せる場合すでに日本国内に在留している方が、現在の在留資格から「経営・管理」に変更する場合
主な流れ日本国内で在留資格認定証明書の交付を受け、海外の日本大使館・領事館でビザの発給を受けて入国する日本国内の出入国在留管理庁に、在留資格の変更を申請する
当てはまる例海外在住の起業家が、日本で会社を設立して経営を始める場合就労系の在留資格や留学の在留資格を持つ方が、日本で会社を設立して経営を始める場合

在留資格認定証明書は、日本で行おうとする事業の経営・管理が「経営・管理」の在留資格の条件に該当するかを、法務大臣があらかじめ審査して交付する文書です。この証明書を海外の日本大使館・領事館に提示してビザを申請すると、条件についての事前審査を終えているものとして扱われるため、ビザ発給の審査が円滑に進みやすいというメリットがあります。

一方、留学の在留資格で日本にいる方や、就労系の在留資格で働いている方が、新たに会社を設立して経営を始める場合は、在留資格変更申請を行います。いずれの方法でも、改正後の要件を満たしていることが前提となる点は変わりません。

更新申請と2028年10月16日までの経過措置

すでに経営管理ビザで日本に在留している方にとって、改正後の新しい基準に自分の会社が対応できるのかは、大きな不安材料だと思います。この点については、既存の在留者に配慮した経過措置が設けられています。

具体的には、すでに「経営・管理」で在留している方が、2028年10月16日までに更新申請を行う場合、改正後の基準を満たしていないというだけで直ちに不許可となるわけではありません。経営の状況や、今後基準に適合していく見込みなどを総合的に踏まえて、許可するかどうかが判断されます。2028年10月16日より後は、原則として改正後の基準への適合が必要になります。

ただし、経過措置があるからといって、更新が必ず認められるわけではありません。更新の審査では、事業が実際に継続して行われているか(活動の実体)に加えて、税金・社会保険・労働保険といった公的な負担をきちんと納めているか、事業に必要な許認可を取得しているかなども確認されます。会社を設立して在留資格を取得した後も、事業を適切に運営し、公的義務を果たしていくことが、更新につながります。

なお、税金・社会保険・労働保険の具体的な取り扱いは、税理士や社会保険労務士が専門とする領域です。更新を見据えた税務・社会保険の管理については、それぞれの専門家に確認することをおすすめします。

会社設立登記と経営管理ビザは別手続き

ここまで見てきたように、日本で会社を設立して経営者として在留するには、「会社を設立する登記手続き」と「経営管理ビザを取得する在留資格の手続き」という、2つの別々の手続きを進める必要があります。会社を設立すれば自動的に経営管理ビザが取得できるわけではありません。会社の設立登記が完了しても、資本金・雇用・日本語能力・事業所などの要件を満たしていなければ、在留資格は認められません。

逆に言えば、経営管理ビザの取得を見据えるなら、会社設立の段階から在留資格の要件を意識した設計をしておくことが重要です。たとえば、資本金をいくらにするか、どのような形態の会社にするか、事業所をどこに構えるかといった判断は、そのまま在留資格の審査に影響します。会社の設立登記と在留資格の申請を切り分けつつ、両方を見据えて準備を進めれば、あとからの手戻りを避けられます。

会社設立そのものの手続きについては、会社の形態や外国要素の有無に応じて、以下のページで詳しく解説しています。

神戸リーガルパートナーズは、司法書士業務として会社設立の登記に、行政書士業務として在留資格や許認可の申請に対応しています。会社設立と経営管理ビザの両方を一つの窓口でご相談いただけるため、手続きの順番や要件を満たす会社設計を含めて、まとめてサポートできます。

よくある質問

 
Q
経営管理ビザの資本金は現在いくら必要ですか?
A

2025年10月16日の改正により、法人の場合は資本金・出資総額が3,000万円以上必要です。改正前の500万円から大幅に引き上げられました。この資本金は事業に投下されるもので、役員報酬や事務所維持費と合算することはできません。

Q
旧来の500万円基準は今も使えますか?
A

新規に申請する場合は使えません。2025年10月16日以降の申請には、原則として資本金・出資総額3,000万円以上という現行基準が適用されます。ネット上に残る「500万円」の情報は改正前のものである可能性が高いため、必ず現行基準を確認してください。

Q
経営管理ビザには常勤職員が必要ですか?
A

改正後は、原則として常勤職員を1名以上雇用することが必須です。常勤職員は、日本人・特別永住者・「永住者」「日本人の配偶者等」など身分にもとづく在留資格を持つ人に限られます。

Q
経営管理ビザの日本語能力要件とは何ですか?
A

申請者本人または常勤職員のいずれかが、CEFR B2相当以上の日本語能力を持つことが求められます。B2は、専門的な内容もある程度自在にやり取りできるレベルの目安です。申請者本人が満たさない場合は、条件を満たす常勤職員を確保する方法もあります。

Q
既に経営管理ビザで在留している人の更新はどうなりますか?
A

2028年10月16日までに更新申請を行う場合、改正後の基準を満たしていないというだけで直ちに不許可になるわけではなく、経営状況や適合見込みなどを総合的に踏まえて判断されます。ただし、必ず更新が認められるわけではなく、事業の実体や公租公課の履行なども確認されます。

Q
会社を設立すれば経営管理ビザは取れますか?
A

取れるとは限りません。会社設立の登記と、経営管理ビザの在留資格審査は別の手続きです。会社を設立しても、資本金・雇用・日本語能力・事業所などの要件を満たさなければ、在留資格は認められません。

Q
自宅を事務所にして経営管理ビザを申請できますか?
A

原則として認められません。経営管理ビザでは、住居とは独立した事業所を確保していることが必要です。事業用として独立したスペースであることや、事業所としての実体が確認されます。

Q
経営管理ビザの事業計画書は誰に確認してもらう必要がありますか?
A

改正後は、中小企業診断士・公認会計士・税理士による確認が必要です。事業計画書自体は改正前から提出書類でしたが、専門家の確認が新たに義務づけられました。なお、対象となる専門家は今後変更される可能性があるため、最新の出入国在留管理庁の情報を確認してください。

Q
経営管理ビザの申請にはどれくらい時間がかかりますか?
A

在留資格認定証明書交付申請の場合、2〜3か月程度が一つの目安ですが、事案の内容や申請時期によって異なります。改正後は要件が増えたため、準備期間も含めて余裕を持ったスケジュールで進めることをおすすめします。

Q
経営管理ビザの申請は行政書士に相談できますか?
A

できます。在留資格の申請は行政書士の業務です。神戸リーガルパートナーズでは、行政書士業務として在留資格の申請に、司法書士業務として会社設立の登記に対応しており、両方をまとめてご相談いただけます。

経営管理ビザのご相談はお気軽に

2025年10月16日の改正により、経営管理ビザの要件は資本金3,000万円以上・常勤職員の雇用・日本語能力など、大きく厳格化されました。要件を満たせるかどうかは事業の内容によって変わり、会社設立の登記と在留資格の申請を両方見据えた準備が欠かせません。神戸リーガルパートナーズでは、会社設立と経営管理ビザの両方を一つの窓口でご相談いただけます。遠方の方や来所が難しい方には、オンライン相談(ビデオ通話)にも対応しています。まずはお気軽にご相談ください。