一般財団法人の設立の流れと費用|300万円の拠出と評議員・理事

一般財団法人は、設立者が300万円以上の財産を拠出し、その財産を決めた目的のために使い続ける法人です。株式会社のような出資とは違い、拠出した財産は設立者に返すことができません。また、評議員3人以上・理事3人以上・監事1人以上をそろえる必要があり、評議員は理事や監事を、監事は理事を兼ねられないため、役職に就く人は少なくとも7人必要です。設立者が個人でいずれかの役職に就く場合は、その人も7人に数えられます。

このページでは、一般財団法人の設立に必要な財産と人、拠出財産とは別にかかる設立費用、定款作成から登記までの流れ、設立後に純資産を維持する必要があることを説明します。当事務所では、定款の作成から設立登記までお手伝いしています。

一般財団法人はどのような目的に向いている?

一般財団法人は、まとまった財産を、決めた目的のために長く使い続けたい場合に向いています。奨学金の給付、研究や文化活動への助成、文化財や地域の施設の維持など、財産を元手にして続ける活動に使われます。

一般法人法上、目的の分野に限定はなく、公益的な活動のほか、特定の人の集まりのための活動を目的にすることもできます。ただし、事業の内容によっては、その事業ごとの許認可や法律の規制を別に受けます。

人ではなく財産が法人の土台になる

一般社団法人は、社員という人の集まりが土台になる法人です。一般財団法人は、設立者が拠出した財産が土台になります。法人の重要なことを決めるのは、社員総会ではなく、評議員で作る評議員会です。

そのため、会員を集めて会費で運営する活動なら一般社団法人、まとまった財産を出して目的のために運用する活動なら一般財団法人、と考えると選びやすくなります。一般社団法人の条件と費用は、一般社団法人の設立条件と費用のページで説明しています。

家族の財産を自由に使うための仕組みではない

一般財団法人に拠出した財産は、設立者や家族の財産ではなく、法人の財産になります。拠出した財産を後から設立者に返すことはできず、法人の利益や、解散したときに残った財産を設立者に分配する定めも、定款に置くことはできません。

財産は、定款で決めた目的の事業にしか使えません。家族の生活費に充てたり、設立者が自由に引き出したりできる財布として使うことはできません。目的の事業を続ける意思があるかどうかを、設立の前に考えておく必要があります。

設立に必要な財産と人

一般財団法人の設立には、300万円以上の拠出財産と、評議員3人以上・理事3人以上・監事1人以上が必要です。設立者は1人でもかまいませんが、法人を運営する評議員・理事・監事は、兼任の制限があるため少なくとも7人をそろえます。

300万円以上の財産の拠出

設立者は、定款に書いた財産を法人に拠出します。拠出する財産の価額は、合計で300万円以上でなければなりません。お金のほか、不動産や株式などのお金以外の財産を拠出することもできます。設立者が2人以上いる場合は、合計で300万円以上になれば足ります。

評議員3人以上・理事3人以上・監事1人以上

一般財団法人には、評議員、評議員会、理事、理事会、監事を必ず置きます。一般社団法人と違い、理事会を置かない形は選べません。評議員と理事はそれぞれ3人以上、監事は1人以上必要です。

立場役割人数
設立者財産を拠出し、定款を作成する1人以上(個人・法人)
評議員評議員会で理事・監事を選んだり解任したりし、定款の変更など重要なことを決める3人以上
理事理事会で業務の執行を決め、代表理事を選ぶ3人以上
監事理事の職務の執行と会計を監査する1人以上

評議員・理事・監事は兼任できない

評議員は、理事や監事、法人の職員を兼ねられません。監事も、理事や職員を兼ねられません。評議員会が理事を選んで監督し、監事が理事を監査するという仕組みのため、それぞれ別の人が務めます。

一般財団法人の機関と兼任の関係
設立者300万円以上の財産を拠出定款で選び方を決める評議員会(評議員3人以上)理事・監事を選ぶ・重要事項を決める選任・解任兼任×理事会(理事3人以上)業務を決め、代表理事を選ぶ理事の職務と会計を監査兼任×監事(1人以上)評議員会が選ぶ評議員は理事・監事を、監事は理事を兼ねられない→ 役職に就く人は少なくとも7人が必要

そのため、評議員3人・理事3人・監事1人の合計7人は、すべて別の人になります。設立者が個人で理事や評議員などに就く場合は、その人もこの7人に含まれます。設立者が法人の場合や、役職に就かない場合は、設立者とは別に7人をそろえます。また、理事や理事会が評議員を選んだり解任したりする定めは、定款に置いても効力がありません。評議員の選び方は、定款で別に決めておきます。

なお、法人税で非営利型法人をめざす場合は、理事に親族などが占める割合の要件が別にあります。一般法人法の兼任の制限とは別の条件なので、後半の「公益財団法人・非営利型法人との違い」で説明します。

拠出財産と設立費用は別に考える

一般財団法人の設立では、法人の財産として拠出する300万円以上の財産と、手続きにかかる設立費用を分けて用意します。拠出財産は設立後に法人の活動に使うもので、手続きの費用として消えるものではありません。

設立時の実費

費用項目金額支払先
定款認証の手数料50,000円公証人
設立登記の登録免許税60,000円法務局(収入印紙で納付)
定款の謄本代など数千円程度公証人
実費の合計(目安)約11万円〜拠出財産300万円以上は別

このほか、設立後の登記事項証明書や印鑑証明書の取得費用、法人の印鑑の作成費用がかかります。当事務所の報酬は、評議員・理事・監事の人数、拠出する財産の種類、遺言で設立するかどうかなどによって変わるため、内容をうかがったうえでお見積りします。

お金を拠出する場合

お金で拠出する場合は、設立者が決めた銀行などの口座に払い込みます。法律では定款の認証を受けたあとに払い込むとされていますが、登記の実務では、定款の認証前に払い込んだものでも、その法人の設立のために拠出されたと認められれば差し支えないとされています。法人はまだ成立していないため、払込みの手続きは設立者が行います。

お金以外の財産を拠出する場合

不動産や株式などを拠出する場合は、財産を法人に引き渡し、名義を法人に移す手続きが必要です。不動産なら、名義変更の登記は法人の成立後でもでき、その登記の登録免許税が別にかかります。

また、財産を法人に移すと、設立者や法人の側で税金がかかることがあります。財産の評価や税金の扱いは財産の内容によって異なるため、拠出の前に税理士に確認してください。当事務所では、必要に応じて税理士をご紹介します。

拠出する財産と設立費用の見通しをご相談ください

拠出する財産の種類と、評議員・理事・監事の候補をうかがい、設立に必要な手続きと費用のお見積りをお出しします。事務所またはオンラインでご相談いただけます。

一般財団法人を設立する流れ

一般財団法人は、目的と財産、役員の候補を決めて定款を作り、公証人の認証を受け、財産を拠出し、評議員・理事・監事を選んで設立登記を申請する、という順で設立します。当事務所にご依頼いただいた場合の流れは次のとおりです。

1
ご相談・基本事項の決定

法人の目的、名称、主たる事務所の所在地、拠出する財産とその価額、評議員・理事・監事の候補、事業年度、公告の方法をうかがいます。評議員をどのように選び、解任するかもこの段階で決めます。

2
定款の作成

決まった内容をもとに、当事務所で定款の案を作成します。一般財団法人の定款には、目的、名称、主たる事務所の所在地、設立者の氏名・住所、拠出する財産とその価額、設立時の評議員・理事・監事の選び方、評議員の選任と解任の方法、公告方法、事業年度を必ず書きます。

3
公証人による定款の認証

当事務所が電子署名をした電子定款で、公証役場の認証を受けます。定款は公証人の認証を受けなければ効力を生じません。

4
財産の拠出

設立者が、定款に書いた財産を拠出します。お金は設立者が決めた銀行などの口座に払い込み、不動産などは法人に引き渡します。

5
評議員・理事・監事の選任と調査

定款で設立時の評議員・理事・監事を決めていない場合は、財産の拠出が終わったあと、定款で決めた方法で選びます。設立時理事は、その中から過半数で代表理事を選びます。設立時理事と監事は、財産の拠出が終わっていることと、設立の手続きが法令や定款に違反していないことを調査します。

6
設立登記の申請

設立時理事と監事の調査が終わった日(または設立者が定めた日)のいずれか遅い日から2週間以内に、主たる事務所を管轄する法務局へ設立登記を申請します。登記を申請した日が、法人の設立日になります。

遺言で設立する場合

一般財団法人は、遺言で設立することもできます。設立者が遺言に定款の内容と財産の拠出を書いておき、亡くなったあとに遺言執行者が定款を作成し、公証人の認証、財産の拠出、設立登記を進めます。遺言の書き方や、相続人との関係、遺言執行者の選び方など、通常の設立とは別に考えることが多いため、個別にご相談ください。

設立までの期間の目安

準備が順調に進んだ場合、ご依頼から設立登記の申請までは2〜3週間程度が目安です。評議員・理事・監事の候補を7人以上そろえるのに時間がかかる場合や、不動産など現金以外の財産を拠出する場合は、さらに延びます。登記は申請から数日〜1週間程度で完了しますが、法務局の混み具合によって前後します。

設立後の運営と純資産の維持

一般財団法人は、設立後も評議員会と理事会を開き、決算を承認し、役員の任期ごとに変更登記をしながら運営します。あわせて、純資産を300万円以上に保つことも求められます。

毎年の評議員会・理事会と決算公告

毎事業年度の終了後には、貸借対照表・損益計算書などの計算書類と事業報告を作り、理事会の承認を経て定時評議員会に提出します。定時評議員会では計算書類の承認を受け、事業報告の内容を報告します。承認された貸借対照表は、定款で定めた方法で公告します。

理事会は、代表理事などが自分の職務の状況を報告するため、原則として3か月に1回以上開きます。定款で定めれば、毎事業年度に4か月を超える間隔で2回以上とすることもできます。

役員の任期と変更登記

役職任期の原則
評議員選任後4年以内に終わる事業年度に関する定時評議員会まで(定款で6年まで延ばせる)
理事選任後2年以内に終わる事業年度に関する定時評議員会まで
監事選任後4年以内に終わる事業年度に関する定時評議員会まで

同じ人が再任される場合でも、任期が来るたびに役員の変更登記が必要です。登記の内容に変更があったときは、2週間以内に変更登記を申請します。最後の登記から5年がたつと、休眠一般財団法人として整理の対象になり、届出をしないと解散したものとみなされます。

純資産が300万円を下回る年が2期続くと解散する

ある事業年度と次の事業年度の貸借対照表で、純資産額がどちらも300万円未満になると、その次の定時評議員会が終わった時に法人は解散します。設立時に300万円以上を拠出していても、活動で財産を使い続けて純資産が減れば、この要件に当たることがあります。

拠出した財産を活動に使うこと自体は問題ありませんが、事業の収入や寄付で純資産を保てるかどうかを、設立前から見込んでおく必要があります。設立時の財産の評価とは別に、毎年の決算で確かめます。

公益財団法人・非営利型法人との違い

一般財団法人を設立しただけで、公益財団法人になったり、税金がかからなくなったりするわけではありません。公益財団法人は行政庁の認定、非営利型法人は法人税法上の要件で、どちらも設立とは別に判断されます。

公益財団法人は、一般財団法人が認定を受けたもの

公益財団法人は、公益目的の事業を行う一般財団法人が、行政庁(内閣総理大臣または都道府県知事)の公益認定を受けたものです。最初から公益財団法人として設立することはできません。公益認定の申請は設立の時期にかかわらずできるため、設立直後でも必要な書類がそろえば申請できます。

公益認定を受けると、寄付をした人が税制上の優遇を受けられるなどの利点があります。その一方で、公益目的の事業の割合や財務について基準を満たし続ける必要があり、行政庁の監督も受けます。

非営利型法人かどうかで法人税の範囲が変わる

一般財団法人のうち、法人税法の非営利型法人の要件を満たすものは、収益事業から生じた所得にだけ法人税がかかります。要件を満たさない一般財団法人は、株式会社と同じように、すべての所得が法人税の対象になります。

非営利型法人の要件には、定款に剰余金を分配しない旨や、解散したときに残った財産を国や公益法人などに帰属させる旨を定めることなどがあります。また、各理事について、その理事本人と、その理事の親族など特別な関係にある理事の合計が、理事総数の3分の1以下でなければなりません。理事が3人なら、理事どうしが親族などの関係にないことが必要です。

これは、評議員・理事・監事の兼任を禁じる一般法人法の決まりとは別の、税金のための条件です。家族を理事に入れたい場合は、非営利型法人の要件を満たせるかどうかに関わります。非営利型法人に当たるかどうかや税務申告は、個別に税理士に確認してください。必要に応じて税理士をご紹介します。

相談前に整理しておく事項

ご相談の段階で、すべてが決まっている必要はありません。次の事項が分かる範囲でお知らせいただければ、一般財団法人で目的を実現できるか、どのような機関の設計にするかを具体的に検討できます。

活動の目的

財産を何のために使うのか。奨学金、助成、施設の維持など、続けたい事業の内容と対象

拠出する財産

お金か、不動産・株式などか。財産の種類とおおよその評価額、設立者が複数いるかどうか

評議員・理事・監事の候補

引き受けてもらえそうな人と人数。設立者自身が理事になるかどうか、家族や親族が加わるかどうか

維持費と収入の見込み

毎年の事業費や事務の費用と、事業の収入・寄付・財産の運用益などの見込み

設立の方法と時期

生前に設立するか、遺言で設立するか。いつごろ活動を始めたいか

維持費と収入の見込みは、純資産を300万円以上に保てるかどうかの判断に必要です。家族や親族が役員に加わる場合は、兼任の制限と非営利型法人の要件を満たせる構成になるかを、あわせて確認します。

よくある質問

Q
300万円は設立の手数料ですか?
A

手数料ではありません。300万円以上の拠出財産は法人の財産になり、設立後の活動に使います。手続きの実費(定款認証の手数料5万円と登録免許税6万円など)は、これとは別にかかります。拠出した財産は、後から設立者に返すことはできません。

Q
評議員・理事・監事は合計何人必要ですか?
A

役職に就く人は少なくとも7人必要です。評議員3人以上・理事3人以上・監事1人以上が必要で、評議員は理事や監事を、監事は理事を兼ねられないためです。設立者が個人でいずれかの役職に就く場合は、その人も7人に数えられます。

Q
依頼してから設立までどのくらいかかりますか?
A

準備が順調に進んだ場合、ご依頼から設立登記の申請まで2〜3週間程度が目安です。役員の候補を7人以上そろえるのに時間がかかる場合や、不動産など現金以外の財産を拠出する場合は、さらに延びます。

Q
遺言で一般財団法人を作れますか?
A

作れます。遺言に定款の内容と財産の拠出を書いておき、亡くなったあとに遺言執行者が定款の作成から設立登記までを進めます。遺言の書き方や相続人との関係など、生前に設立する場合とは別に検討することが多いため、個別にご相談ください。

Q
一般社団法人とどちらにするか迷っています
A

会員が集まって会費で運営するなら一般社団法人、まとまった財産を出して目的のために使い続けるなら一般財団法人が向いています。一般社団法人は社員2人以上から設立でき、財産の拠出も不要です。3つの法人形態の違いは一般社団法人・NPO法人・財団法人の違いと選び方で比べています。

一般財団法人の設立をご相談いただくには

当事務所では、一般財団法人の設立をお手伝いしてきました。次の範囲でお引き受けしています。

  • 活動の目的と拠出する財産をうかがい、評議員・理事・監事の構成と、純資産を保てるかの見通しを検討
  • 定款の作成(評議員の選任・解任の方法、非営利型法人を前提にした定めを含む)
  • 公証人による定款認証の手続き(電子定款)
  • 設立時の評議員・理事・監事の選任や調査に関する書類の作成と、設立登記の申請
  • 拠出する不動産の名義変更の登記
  • 設立後の役員変更・定款変更などの変更登記

財産の評価や税金の扱いなど税務の判断が必要な場合は、税理士と連携して進めます。

一般財団法人の設立をご相談ください

活動の目的、拠出する財産、評議員・理事・監事の候補、活動を始めたい時期をお知らせください。事務所での面談のほか、遠方の方や外出が難しい方はオンラインでもご相談いただけます。

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