新型コロナウイルス感染症が拡大し、全国に緊急事態宣言が出されました。外出自粛の要請や、業種によっては休業の要請も出され、多くの事業者の方が大きな影響を受けています。
新型コロナウイルスの影響を受けた事業者の方の事業の継続を支援するために、国は持続化給付金を支給することを決めました。
ただ、国民に一律給付される予定の10万円の給付金とは違い、持続化給付金を受け取るには要件があります。売上が減っていても、誰でもがもらえるわけではありません。
ここでは、持続化給付金の支給を受ける要件、金額、申請方法について説明します。
目次
持続化給付金の支給対象となる要件
持続化給付金の支給対象となる方は、次の要件を満たす方です。
- 2019年以前から事業により事業収入を得ており、今後も事業を継続する意思があること
- 2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症の影響により、売上が前年同月比で50%以上減少した月があること
- 中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業者(資本金10億円以上の大企業は対象外)
2019年以前から事業により事業収入を得ている
まず、最初の要件は、2019年以前から事業により事業収入を得ていることです。2019年の途中に開業した方も対象になります。
残念ながら2020年に創業した方は持続化給付金の対象外です。ただし、2019年は個人事業者として事業をしていて、2020年に法人成りした方は、持続化給付金の対象になります。
また、「持続化」という名前から、今後も事業を継続するつもりの方が対象です。
売上が前年同月比50%以上減少したこと
次の要件は、前年同月と比べて売上が50%以上減少していることです。1か月でも売上が前年と比べて50%減少していれば対象になります。
これは例えば、次のような売上の方だと、
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | |
2019年 | 100 | 100 | 100 | 100 |
2020年 | 100 | 90 | 70 | 40 |
2020年4月に、売上が前年と比べて50%以上減少しているので、持続化給付金の対象になります。
しかし、次のような方は、
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | |
2019年 | 100 | 100 | 100 | 100 |
2020年 | 100 | 51 | 51 | 51 |
上の方より売上が大きく減っていますが、前年と比べて50%以上減少している月が無いので、4月までの時点では持続化給付金の対象にはなりません。ただし、このケースでも5月以降に売上が50%以上減少することがあれば、持続化給付金の対象になります。
法人、個人事業者
会社、フリーランスを含む個人事業者が対象になります。ただし、資本金10億円以上の大企業は対象外です。
また、法人は、会社だけではなくて、医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人も対象になっています。
持続化給付金の金額
- 法人 200万円
- 個人事業者 100万円
ただし、昨年2019年1年間の売上からの減少分を上限とします。売上の減少分の計算方法は、次の式で計算します。
売上減少分=2019年の総売上ー前年同月比50%の月の売上×12
(ただし、10万円未満の端数は切り捨てます。10万円未満の金額は切り捨てるとされていましたが、10万円未満の額については後日支給することに変更されました。)
どの月の売上で申請するかは申請者が選べるので、持続化給付金の額が最も多くなる月を選んで申請すればいいことになります。
数式だけ見てもわかりにくいので、次に持続化給付金の計算例で説明しますね。
持続化給付金の例
持続化給付金の例として、上の方の例をもう一度
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | ・・・ | 総売上 | |
2019年 | 100 | 100 | 100 | 100 | 毎月100 | 1200 |
2020年 | 100 | 90 | 70 | 40 |
この例(単位は万円)で4月の売上で計算すると、
1200(2019年総売上)ー40(前年同月50減の4月の売上)×12=720
720万円の売上減と判定されるので、持続化給付金は、法人なら200万円、個人事業者だったら100万円満額が支給されます。この場合は、他の月の売上がどうであろうと、4月の売上で申請すれば満額受け取れます。
月ごとの売上の変動が大きい方の特例
この売上減少分の計算方法、申請対象になる方のほとんどは気にしなくていいと思いますが、売上が極端に片寄る方には影響があるかもしれません。
例えば
1月 | 2月 | 3月 | ・・・ | 総売上 | |
2019年 | 10 | 10 | 1000 | 毎月10 | 1110 |
2020年 | 10 | 9 | 480 | 4 |
この場合、3月の売上が前年同月比50%減少しているので対象になりますが、売上の減少分を計算してみると、
1110−480×12=−4650
売上が大きく減少しているのに、減少分がマイナスになってしまいます。減少分がマイナスということは、売上が増えているということなので、このままでは持続化給付金を申請できません。
このように売上に季節性がある方には、季節性収入特例というのががあります。季節性収入特例を使えば、上の方も満額を受け取ることができます。季節性収入特例の要件は次のとおりです。
- 少なくとも2020年の任意の1か月を含む連続した3か月(対象期間)の事業収入の合計が、前年同期間の3か月(基準期間)の事業収入の合計と比べて50%以上減少していること
- 基準期間の事業収入の合計が基準期間の属する事業年度の年間事業収入の50%以上を占めること
この極端な方のケースを季節性収入特例に当てはめると、
2019年2月〜4月(基準期間)の売上が1020万円、2020年2月〜4月(対象期間)の売上が493万円で、同期間で比べると50%以上減少してします。
また、2019年2月〜4月の売上は2019年の売上の50%以上を占めています。
この方は、季節収入特例を使えば持続化給付金の対象になります。この場合の持続化給付金の計算式は、「基準期間の売上ー対象期間の売上」です。
持続化給付金額=1020−493=527 となり、満額(法人は200万円、個人は100万円)受け取ることができます。
2019年途中に創業した方の特例
昨年創業したばかりで期間が短い方については、創業特例(新規開業特例)があり、特別の計算をして持続化給付金の額を決めます。
例えば2019年10月に開業した方の場合
10月 | 11月 | 12月 | 合計 | |
2019年 | 50 | 50 | 80 | 180 |
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | |
2020年 | 60 | 60 | 40 | 20 |
この場合、売上げの減少を判定するには、2019年の月の平均売上をベースにします。
2019年の月の平均売上は180÷3=60、2020年4月に20で2019年の月平均の60の50%以下になっているので、持続化給付金の対象になります。
持続化給付金額の計算には、今度は2019年の売上を年間12か月ベースにして計算します。まず、2019年の売上を年間ベースにすると180÷3×12=720。これをもとに計算します。あとの計算は通常の計算と同じです。
持続化給付金額は720−20×12=480となり、満額(法人は200万円、個人は100万円)を受け取ることができます。
持続化給付金判定エクセルファイルの使い方
持続化給付金が受け取れるか、受け取れるとしたらその金額はいくらあか、また何月の売上で申請するのが良いかの判断ができるエクセルファイルを作りました。よろしければダウンロードしてお使いください。
ダウンロードしてお使いいただけますが、季節性収入特例や創業特例(新規開業特例)には対応していません。持続化給付金申請サイトに国作成のエクセルファイルがあり、そちらには季節性収入特例や創業特例の計算ができるエクセルファイルもあります。
エクセルファイルを使う際は、まずいちばん左上から「法人」か「個人事業主」かを選んでください。法人と個人事業主で給付される持続化給付金の上限が異なるので、忘れないでください。
次に2019年の月別の売上を入力してください。一円単位まで入力しないと正確に計算できないので注意してください。総売上は自動で計算されるので、最後に総売上で入力に間違いがないか確認してください。
次は2020年の月別の売上を入力してください。これも一円単位まで入力してください。
これだけで、自動的に判定されます。
次に表の見方の説明をします。
50%判定の欄では、前年同月比で売上が50%以上減少しているかどうかが判定され、売上が50%以上減少している場合は「◯」、そうでない場合は「✕」が表示されます。
その下の給付金額の行では、その月で申請した場合の持続化給付金の金額が自動で計算されて表示されます。売上が50%以上減少していない月や、給付金がマイナスになる月は「0」と表示されます。
一番下の緑の「受け取れる持続化給付金額」欄には、計算された各月の給付金額のうち、額が最大のものが表示されます。
そして、受け取れる給付金額が最大になる月には、「申請対象月」欄に「◯」が表示されます。◯が付いている月で申請すると持続化給付金の額が最大になります。複数の月に◯がある場合は、そのうちのどの月で申請しても問題ありません。
簡単に使っていただけると思います。
受け取れる持続化給付金の額が上限にならないことがあるかもしれません。そのようなときは、もう少し様子を見て申請するか、満額受け取れなくても早めに申請するかは、ご自身の事業の状況や資金繰りの状況と相談して、事業者として自己責任で決めてください。
持続化給付金の申請方法
持続化給付金の申請は、5月1日から始まりました。電子申請の場合は、申請後2週間程度で口座に振り込まれる予定です。
必要書類・情報は、
法人の場合
- 法人番号
- 2019年の確定申告書控え
- 減収月の事業収入に関する帳簿等
- 通帳の写し
個人の場合
- 本人確認書類
- 2019年の確定申告書控え
- 減収月の事業収入に関する帳簿等
- 通帳の写し
です。通帳は、法人の場合は法人名義、個人事業主の場合は個人名義の口座であることが必要です。
国の持続化給付金サイトからオンラインで申請することができます。
申請方法がよくわからない、自分でやろうとしたけどできないという方は、お手伝いいたします。
事業者の方でも個人としての様々な支援策を受けることができます。次の記事を参考にしてください。