新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、全国に緊急事態宣言が出されました。
多くの方が影響を受けていて、生活や事業に不安を抱えています。
また、政府の支援策も、報道される範囲でもコロコロ変わり、一体どうなるのか、何が決まっていて、何がまだ決まっていないのか。自分はどういう制度が利用できるのかわからないことだらけですよね。
この記事では、新型コロナウイルスの影響を受けた方が利用できる制度、受けられる給付金をわかりやすく分類して紹介します。
長文のため、下の目次を見て、気になることころ、関係しそうなところから読んでください。
目次
国から支給されるもの
布マスク2枚を各世帯に配布
全世帯に支給されるもので一番最初に決まったのが、布マスク2枚。
現金より先にマスクの配布が決まりました。洗剤で洗えて繰り返し使える安倍首相肝いりのマスクです。
安倍首相が会議しているところをテレビで見ても、安倍首相以外誰も着けていないのは何故なんでしょうか。
特別定額給付金
世帯主の収入が減少した世帯で、一定の条件を満たす世帯に、1世帯あたり30万円を給付する予定で進んでいました。
それが、国民一人あたり10万円の特別定額給付金を支給の方向に変わりそうです。所得制限はないようなので、全員に一律10万円が支給されます。ただし、申請が必要なようです。
まだ、国会を通過していないので、また変わるかもしれません。また、国会を通過しても、実際に振り込まれるのがいつになるのか、現時点では不明です。
こういうのは急がないといけないと思いますが、いつまでも決まらないのは残念ですね。
子育て世帯への臨時特別給付金(児童手当上乗せ)
現在中学生までの子どもがいる世帯で児童手当を満額受け取っている世帯に対し、子供一人につき1万円が支給されます。
児童手当を満額受け取っている世帯とは、児童手当として月1万円〜1万5000円の支給を受けている世帯です。月5000円の特例給付を受けている世帯は対象外です。
児童手当に上乗せして支払われるため、申請の必要はありません。
住むところを失いそうなとき失ったときに使える制度
住居を失ったとき
新型コロナウイルスの影響で解雇や離職のために住居を失った方に、公営住宅を提供しているところもあります。
兵庫県や神戸市は、新型コロナウイルスの影響で解雇や離職により住宅を失った方を対象に、県営住宅、市営住宅を提供しています。兵庫県営住宅は300戸、神戸市営住宅は100戸です。
リンク 新型コロナウイルス感染症拡大に伴う解雇・離職者に対する兵庫県営住宅の提供について
リンク 神戸市:新型コロナウイルス感染症の影響によって、お住まいにお困りの方への市営住宅の提供について
大阪府も府営住宅を提供しているようです。他の地域の方も、住むところを失ったときは、まずは、お住いの都道府県、市区町村の情報を確認してみてください。
また、新しい住居を借りるのにお金がないときは、社会福祉協議会で総合支援資金の住宅入居費という制度を利用すると、敷金礼金などアパートの契約をする費用を借りることができます。住宅入居費を借りるには、この次に説明する住宅確保給付金を利用することが条件です。
住宅入居費 | |
貸付限度額 | 40万円 |
据置期間 | 6か月以内 |
償還期間 | 10年以内 |
貸付利子 | 連帯保証人あり無利子、連帯保証人なし年1.5% |
連帯保証人 | 原則必要。ただし、無しでも利用可 |
家賃の支払いが苦しくて住居を失いそうなとき
新型コロナウイルスの影響で収入が減ったり失業したりして、家賃が払えないという状況になったときに利用できるのが住宅確保給付金です。
住宅確保給付金の収入や支給額には条件があります。神戸市の場合は次のとおりです。
収入上限 | 支給額 | |
単身世帯 | 8.4万円 | 4万円 |
2人世帯 | 13.0万円 | 4.8万円 |
3人世帯 | 17.2万円 | 5.2万円 |
4人世帯 | 21.4万円 | 5.2万円 |
5人世帯 | 25.5万円 | 5.2万円 |
6人世帯 | 29.7万円 | 5.6万円 |
*収入は、表の金額に家賃(住宅確保給付金支給額を上限とします)を加えます。基準額を上回る収入があるときは、一部支給となり差額は自己負担となります。
住宅確保給付金が支給されるのは、原則3か月ですが、最大で9か月まで延長可能です。
住宅確保給付金の相談は、神戸市の場合、各区役所のくらしの支援窓口です。
リンク 神戸市:住居確保給付金
支払いが苦しいときに待ってもらう制度
税金や社会保険料の猶予
所得税や市県民税、国民健康保険料、国民年金などの納付が難しい場合、税務署や市区町村、年金事務所に申請して猶予してもらうことができます。また、国民年金は一定の条件に該当すれば、免除を受けられる可能性もあります。
支払猶予の申請をしないで支払いをしないままでいると、延滞となって延滞金がかかります。支払いが苦しいときは、忘れずに猶予申請をしましょう。
リンク 新型コロナウイルス感染症の影響により納税が困難な方へ|国税庁
リンク 【国民年金被保険者の方へ】新型コロナウイルスの感染症の影響により国民年金保険料の納付が困難となった場合の免除制度の活用について|日本年金機構
リンク 神戸市国民健康保険
電気ガス電話料金の公共料金の猶予
NTTグループ(NTTドコモ、NTT東日本、NTT西日本)、au、ソフトバンクは、支払期限が2月末以降(auは2月25日以降)となっている電話料金の支払期限を5月末まで延長する措置を取っています。期限延長は、各社に申請が必要です。
また、電気・ガス料金も、2020年3月、4月、5月の電気料金とガス料金の支払いを1か月猶予してもらえます。ただし、電気・ガス料金については、電話料金より厳しく、この後説明する緊急小口資金の融資を受けていることが必要です。
電話料金、電気料金、ガス料金の猶予は申請が必要です。申請をしないまま支払わないでいると、ただの滞納になって、止められてしまう可能性もあるので、忘れずに申請しましょう。
住宅ローンやその他の借金が支払えなくなったとき
住宅ローンや事業のために銀行から借りたローンの支払いが苦しくなったとき、各金融機関が返済の相談を受けているので、まずは各銀行に相談してみてください。
消費者金融やクレジットカードの支払いができなくなったときは、債務整理で解決した方が良いかもしれません。債務整理を専門家に依頼すると、支払いをストップすることができ、債権者から連絡も来なくなります。債務整理の費用は法テラスを利用してくれる事務所に依頼する方が負担は少なくて済みます。
リンク 債務整理の相談 | 司法書士事務所神戸リーガルパートナーズ
無利子でお金を借りられる制度
休業などで収入が減ったときは緊急小口資金
休業等で収入が減って緊急かつ一時的に生活するのが難しくなった方は、社会福祉協議会で緊急小口資金を借りることができます。
従来は低所得世帯に限定されていましたが取り扱いを拡大し、緊急小口資金は、新型コロナウイルスの影響を受け休業等により収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯も対象になりました。新型コロナウイルスの影響で収入の減少があれば、休業状態になくても対象になります。
貸付上限額 | 学校等の休業、個人事業主等の特例の場合、20万円 その他の場合、10万円 |
据置期間 | 1年以内 |
償還期間 | 2年以内 |
貸付利子 | 無利子 |
保証人 | 不要 |
日常生活の維持が困難になったときは総合支援資金
新型コロナウイルスの影響を受け、収入の減少や失業等で日常生活を維持することが難しくなった家庭は、社会福祉協議会で総合支援資金(生活支援費)を借りることができます。総合支援資金を借りるには、生活立て直しに向けた相談支援を利用することが条件になっています。
貸付上限額 | 単身 月15万円以内 2人以上 月20万円以内 |
貸付期間 | 原則3か月以内 |
据置期間 | 1年以内 |
償還期間 | 10年以内 |
貸付利子 | 無利子 |
保証人 | 不要 |
総合支援資金は申し込みをして借りられるまで1か月程度がかかるので、急ぎのときは緊急小口資金も合わせて利用します。
学費が払えないときは奨学金
日本学生支援機構は、新型コロナウイルスの影響で家計が急変し緊急の支援が必要な場合で、急変後の家計が給付型奨学金の要件を満たすことが確認できれば、返済不要の給付型奨学金の申し込みができます。
給付型奨学金が申請できる時期は決まっていますが、家計急変の場合は、いつでも申し込みを受け付けています。ただし、家計急変の事由が発生したときから3か月以内に手続きしてください。
リンク 新型コロナウイルス感染症に係る影響を受けて家計が急変した方への支援
給付型奨学金に該当しないときでも家計が急変したときは、無利子の応急採用奨学金、有利子の緊急採用奨学金もあります。
この他に社会福祉協議会の教育支援資金という貸付制度もあります。ただし、教育支援資金は、日本学生支援機構の奨学金などを利用して、それでも不足するときに不足分を借りられる制度です。
仕事を休んだときに使える制度
発熱などの症状で休んだときは傷病手当金
新型コロナウイルスに感染または発熱などの症状が出たため自宅で療養する場合で、仕事を休んでいる期間の給料が支払われないときは、4日目から健康保険の傷病手当金(日額給与の3分の2)が受け取れます。
学校が臨時休校で仕事を休むときは小学校休業等対応助成金
令和2年2月27日から6月30日までの間に臨時休校の影響で働けなかった小学生の親(障害児なら高校生まで)に有給休暇とは別に特別な有給休暇を与えた場合、1日当たりの上限8330円まで会社に助成される。
会社から有給で消化を求められたときにこの助成金のことを話して特別休暇に切り替えてもらうこともできるかもしれません。
会社が申請するものなので、会社が協力してくれることが前提です。
会社が休業したときは休業手当
新型コロナウイルスの影響で会社が休業した場合、給料がどうなるのか心配ですね。この場合、休業手当を受け取れる可能性があります。
休業手当を受け取れるのは会社側の事情で休業になった場合で、平均賃金の60%を受け取れます。
平均賃金は直近3か月の賃金総額を3か月の総日数で割ります。実際に働いた日数ではなくて総日数となるため、1日あたりの給料は実際に受け取った給料より下がります。その下がった給料の60%が休業手当となります。
会社が雇用調整助成金の申請をすれば、会社は休業手当の90%の助成を受けられるので、会社ともよく話し合ってみてください。
最後の砦は生活保護
ここに書いたあらゆる制度を利用して、それでも生活できないとき、最後の砦は生活保護です。
生活保護は簡単に受けられないのでは?と思うかもしれません。
確かに生活保護を受けるには様々な要件があります。しかし、今回の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、国も生活保護の条件を少し緩くしています。
リンク 新型コロナウイルス感染防止等のための生活保護業務等における対応について
例えば、生活保護の条件として、稼働能力の活用というのがあります。簡単に言うと、働ける人は働いてください、失業中の方は求職活動をしてくださいというものです。
ただ、今回の緊急事態を受けて、新たに働くところを探すこと自体が困難だという事情があれば、稼働能力の活用の判断は留保して後回しにしていいですよということになりました。
また、生活保護では自動車の保有はかなり厳しい条件のもとでしか認められていませんでした。しかし、一時的に収入が無くなって生活保護が必要でも、この事態が収束すれば元通りになりそうな方が自動車を保有しているとき、自動車を求職活動や求職活動のために子どもの送迎に利用し、自動車の価値が小さいときは、そのまま保有を認めるとされました。
生活保護の相談に行っても、窓口で断られることもよくあります。個人ではなかなか生活保護の条件を理解するのも難しいと思います。生活保護の相談をしたいときは弁護士会、司法書士会、法テラスに相談してください。