相続登記の申請義務化でで誰がいつまでに何をしなければならないのかわかりやすく解説

亡くなった方が所有していた土地や建物の名義を、その不動産を相続した相続人の方に変更することを相続登記といいます。

相続登記はこれまでは義務ではなかったので、価値があまり無い不動産については相続登記がされず、亡くなった方の名義のままになっているということがありました。しかし、相続登記が義務化された後は、相続登記をしないでいると罰則が課せられる可能性もあります。

相続登記義務化後にきちんと対応できるよう、この記事では相続登記義務化について解説します。

この記事を読んでわかること
  • 相続登記が義務化された理由
  • いつから相続登記が義務化されるか
  • 相続登記義務化されると誰がいつまでに何をしなければならないのか
  • 新しくできた相続人申告登記制度について

相続登記が義務化されたのはなぜ?

所有者不明土地問題という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

所有者不明土地とは、不動産の登記簿から所有者がすぐにはわからない、またはわかったとしても所有者と連絡が取れない土地のことをいいます。

所有者不明土地があるために、その土地を含めた周辺の土地の利活用ができない、防災などのための公共事業の用地取得ができないなどさまざまな問題が起きています。特に東日本大震災後の復興事業を行なう際に、所有者不明土地が多く存在するために用地取得が思うように進まず、それに対する対応が課題になったことをきっかけにして、所有者不明土地問題が広く知られるようになりました。

国の調査によれば、所有者不明土地の面積を足すと、九州全体の面積を超えるとか、北海道の面積にも匹敵するとも言われています。ここまで所有者不明土地が増えた原因の一つとして、相続登記しなくても不利益がないことから、価値がない不動産の相続登記をしようとは思わないことがあげられます。

そこで、所有者不明土地問題に対応するために、相続登記が義務化されました。

いつから相続登記が義務化されたの?

相続登記は、令和6年4月1日から義務化されました。

相続登記が義務化された後は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければなりません。これは、相続登記が義務化される前に開始した相続も義務化の対象です。

相続登記義務化後は、相続登記の申請をしないでいると罰則が課せられることがあるので、早めに相続登記をする必要があります。

相続登記が義務化されるとどうなる?

相続登記が義務化されると、誰がいつまでに何をしなければならないのでしょうか?

誰に相続登記の義務が課されるのか

遺言がないとき

不動産の所有者が亡くなったとき、すべての法定相続人が各法定相続分の割合に応じて不動産の所有権を取得することになるとされていて、各法定相続人が相続登記を申請する義務を負います。

ただし、不動産を誰が相続するか相続人の間で話し合いがまとまっていないこともありますよね。そのようなときは、法定相続分で一旦相続登記をして遺産分割協議ができてから法定相続分の登記の持分を移すという方法もありますが、二度も登記をするのは手間ですよね。そのような場合には、この後で説明する相続人申告登記の申出をすることで、相続登記の義務を履行したとみなされます。

遺言があるとき

被相続人が遺言を遺している場合で、その遺言で不動産を相続する人が相続人であるときは、その相続人に相続登記を申請する義務があります。

遺言があっても、相続人以外の人に遺贈したときは、遺贈で不動産の所有権を取得する受遺者の方に登記の申請義務は課されていません。

相続放棄があった場合

相続放棄があった場合、相続放棄をした人は、その相続については最初から相続人でなかったことになります。そのため、相続放棄をした人には相続登記の義務はありません。相続放棄をしなかった他の相続人に相続登記の義務が残ります。また、第一順位の相続人全員が相続放棄をして、第二順位または第三順位の方が相続人になるときは、その次順位の相続人に相続登記の義務があることになります。

相続登記の申請期限は3年

相続登記が義務化されると3年以内に相続登記をしなければなりません。いつから3年かというと、必ずしも不動産の所有者が亡くなった日からとは限りません。相続登記は、「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日」から3年以内にしなければならないとされました。

自己のために相続の開始があったことを知った日

自己のために相続の開始があったことを知ったとは、不動産の所有者が亡くなり、自分が相続人であることを知った日です。

親子であれば亡くなった日に知ることが多いでしょう。しかし、疎遠だったり交流が全く無く、亡くなったことすら知らいないような場合には、相続開始を知らないので、相続登記義務化の対象ではありません。

当該所有権を取得したことを知った

単に相続人になったことだけではなくて相続により不動産を取得したことも知ったことが相続登記義務化の対象です。

相続が開始したことを知ったとしても、不動産の存在自体を知らない場合や不動産があることを聞いていたが具体的な地番までは知らない場合は含まれないとされます。

また、ずっと先代のままの名義が残っているようなケースでは、そもそも不動産があることすら知らないというケースもあり、そのような場合には所有権を取得したこと自体知らないので相続登記義務化の対象ではないと考えられます。

過去分の相続も相続登記の義務がある

相続登記は、令和6年4月1日から義務化されます。令和6年4月1日以降の相続はもちろん義務化の対象ですが、相続登記が義務化される以前の相続も相続登記義務化の対象なので注意が必要です。

令和6年4月1日より前に開始した相続について、いつまでに相続登記をしなければならないかというと、原則として、令和6年4月1日から3年以内です。ただし、自分が相続により不動産の取得を知った日が令和6年4月1日より遅ければ「知った日から3年以内」に相続登記をすればよいとされています。

例えば、令和6年4月1日以前に不動産の所有者が亡くなっていたような場合で、

  • もし自分が相続人であり、不動産があることを知っていれば、令和6年4月1日から3年以内
  • もし自分が相続人になったこと、または相続により不動産を取得したことを知ったのが令和6年4月1日以降であれば知った日から3年以内

に相続登記をすることになります。

相続登記をしないと罰則も

相続登記の義務化が始まると、正当な理由がないのに3年以内に相続登記の申請をしないときは10万円以下の過料に処せられます。

ただし、3年を経過したからといって、いきなり過料にするような運用はされない予定です。正当な理由があれば過料になることなありません。

相続登記が期限内にできないときの対処法

相続登記が義務化されても、相続登記を3年以内に申請できないこともあるでしょう。例えば、相続人が多すぎて話し合いすら始められないような場合とか相続人間で遺産分割で揉めていてまとまりそうにないときなどです。

このようなとき、相続人の一部から法定相続分で相続登記をすることもできます。しかし、法定相続分で登記をするにも相続人を確定させるためのすべての戸籍を揃える必要がありますし、法定相続分で登記をすると後に遺産分割がまとまったとき、その内容が法定相続分と異なる持分で相続するときは、持分移転登記が必要になり、相続人にとっては負担が大きくなってしまいます。

そこで、相続人申告登記という新たな制度を設け、相続人申告登記の申出をした相続人は相続登記の義務を履行したものとみなされることになりました。

相続人申告登記制度

相続人申告登記とは、登記官に対して、対象となる不動産を特定したうえで「所有権の登記名義人に相続が発生したこと」と「自らがその相続人である旨」を申し出ることで、申出をしたものの氏名・住所などを登記簿に付記する制度です。

この相続人申告登記は、所有権が亡くなった方(被相続人)から相続人に権利が移転したということを示すものではなく、あくまで「登記簿上の所有者」が亡くなってその法定相続人を公示するに過ぎない手続きです。相続登記そのものではないので、あくまで相続登記の義務を免れるための制度に過ぎません。そのため、後に遺産分割がまとまったときには、申出をした相続人が不動産の所有者とならない可能性もあります。

相続人が不動産を売却などの処分をするときは、相続人申告登記がされているだけでは売却はできず、正式に相続登記をしなければなりません。

相続人申告登記後に遺産分割協議が成立したとき

相続人申告登記の申出があった後で、相続人間で遺産分割の話し合いがまとまったときは、遺産分割の日から3年以内に遺産分割の内容を踏まえた相続登記をしなければなりません。

相続人申告登記はあくまでも法定相続人を情報として公示しているに過ぎず、権利移転の関係を公示しているものではありません。したがって、遺産分割協議が成立したときは、その権利関係を公示するために相続登記をしなければならないとされました。

相続登記を先延ばしにするリスク

相続登記をしないままにしておくと、相続登記義務化後は過料に処せられるリスクがありますが、その他にもリスクがあります。

相続関係が複雑になるリスク

遺産分割協議が行われず、相続登記をしないまま相続人のうちの誰かが亡くなると、次の相続が開始されます。そうすると、相続人の数が増えて、相続関係が複雑になってしまいます。

相続人の世代が変わってしまい、お互いに面識がなかったり、連絡先を知らなかったりして、遺産分割協議を始めることすらできなくなったというケースは珍しくありません。

そうなると、相続登記をするのにも、通常より時間と費用を要することになります。

不動産を売却できないリスク

相続登記のされないで不動産の名義が被相続人のままの場合、その不動産を売却することはできません。相続登記を経なければ買主名義にできないからです。

したがって、相続した不動産の売却を考えている場合は必ず相続登記を行う必要があります。

売却したいときに迅速に売れるようにするためには、早めに相続登記をしておくのが良いでしょう。

相続した不要な土地を国に帰属させる制度も新設

相続は亡くなった方が持っていたもの全てを包括的に引き継ぐ制度です。そのため、相続によって欲しくない土地を取得してしまうこともあります。そのような土地を相続した相続人の方は、土地を所有することについての負担感が大きくなります。

実際に相続の相談の際に「この土地は必要ないので市かどこかに寄付できませんかね?」と言われる方がときどきいらっしゃいます。

これまでそのような土地を引き取ってくれる制度はなかったのですが、この度、相続土地国庫帰属法というのができ、相続した土地を国に引き取ってもらうことができるようになりました。

ただし、どんな土地でも引き取ってもらえるわけではありません。建物が存する土地や境界が明らかでない土地は引き取ってもらえません。

具体的にどのような場合に認められ、どのような場合には認められないのかについては、今後の事例の積み重ねを待つことが必要になりそうです。

また、国が無償で引き取ってくれるわけではなく、一定の負担金を国に納めなければならないことにも注意が必要です。

相続登記の相談は司法書士に

相続登記の義務化後は、相続登記は期限内に申請しなければなりません。

これまでは時間をかけて書類を揃え、何度も法務局に足を運んで相続登記を自分で申請される方もいらっしゃいましたが、期限内に確実に相続登記を終わらせるためには司法書士に依頼されるのが確実です。

相続関係が複雑になっていたり、早急に売却したいようなケースでは登記の専門家である司法書士に依頼される方が迅速に手続きを進めることができて安心です。

また、外国人が絡むような相続では、司法書士でも取り扱っていないような場合もあります。外国人や外国が関係する相続登記は、当事務所のような国際的な相続案件を多数扱っている司法書士事務所でなければできません。

外国人が被相続人の相続登記手続き

まとめ

相続登記は、令和6年4月1日から義務化されます。正当な理由なく登記を怠ると、過料に処せられる可能性もあります。

相続が開始し、不動産が遺産に含まれるときは、早めに対応して期限内に相続登記を終わらせるようにしましょう。

当事務所も相続登記はこれまでも多数扱っています。相続登記のご相談は神戸相続遺言手続サポート運営の司法書士事務所神戸リーガルパートナーズまで。

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