法務局から休眠会社の整理の通知が届いた、または登記事項証明書に「解散」と載っていて驚いた。そのような場合も、会社の状況によって次にすることがはっきり分かれます。期限前で、まだ解散の登記がされていなければ、期限内に必要な登記か届出をすれば解散を防げます。すでに解散したとみなされていても、その時から3年以内なら、株主総会の決議と登記で会社を継続できます。
このページでは、通知の段階か解散後かの見分け方、会社を継続する手続き、続けない場合の清算、必要書類と費用の考え方を説明します。通知書と登記事項証明書があれば、資料がそろっていなくてもご相談いただけます。
目次
まず、通知段階か、すでに解散しているかを確認する
最初に確かめるのは、期限前で解散の登記がされていないのか、すでに解散したとみなされているのかです。解散前なら期限内の登記か届出で解散を防げますが、解散後は会社継続か清算のどちらかの手続きが必要になります。
| 会社の状況 | 希望 | 次にすること |
|---|---|---|
| 通知が届いた・期限前(解散の登記前) | 会社を続ける | 期限内に、必要な登記(役員変更など)を申請するか、事業を廃止していない旨の届出をする |
| 解散したとみなされてから3年以内 | 会社を続ける | 株主総会で会社継続を決議し、役員を選び直して、継続の登記をする |
| 解散したとみなされている | 会社を終える | 清算人を確かめ、財産と債務を整理して、清算結了の登記をする |
| 解散したとみなされてから3年を過ぎた | 事業を続けたい・残った財産を整理したい | 株主総会の決議による会社継続はできないため、清算を進めるか、別の方法を個別に検討する |
今の状況は、会社の登記事項証明書で確かめます。すでに解散したとみなされている場合は、解散の欄に「会社法第472条第1項の規定により解散」と、その日付が記録されています。解散の記録がなければ、最後に登記がされた日から12年がたっているかどうかを、役員の欄などの日付で確認します。
会社継続ができる3年の期限は、通知を受け取った日や、解散に気づいた日から数えるのではありません。解散したものとみなされた時から数えます。期限が近い場合は、資料がそろっていなくても早めにご相談ください。
休眠会社の整理・みなし解散とは
休眠会社の整理は、最後の登記から12年がたった株式会社について、法務大臣が官報で公告し、期限内に登記か届出がなければ解散したものとみなす手続きです。登記官が職権で解散の登記をするので、会社が自分で解散の手続きをしていなくても、登記の記録は解散した会社になります。
12年以上登記がない株式会社が対象
対象になるかどうかは、売上や営業の有無ではなく、登記の有無で決まります。株式会社の取締役の任期は、株式に譲渡制限のある会社でも最長10年です。本来は少なくとも10年ごとに役員の変更登記が必要になるため、12年登記がない会社は、事業をやめている可能性があるとして整理の対象になります。
そのため、毎日営業している会社でも、役員の変更登記を長くしていなければ対象になります。同じ人が取締役を続けている場合でも、任期が来るたびに登記が必要です。
税務署への休業の届出と登記は別
税務署や市役所に休業や異動の届出をしていても、法務局の登記をしたことにはなりません。登記事項証明書を取得しただけでも、登記をしたことにはなりません。休眠会社の整理で見られるのは、法務局に登記の申請がされたかどうかです。
通知が届かなくても手続きは進む
登記所は対象の会社の本店あてに通知を送りますが、解散したものとみなされるかどうかは、官報の公告と期限によって決まります。本店を移転したのに登記をしていないなどの理由で通知が届かなくても、期限までに登記か届出がなければ解散したものとみなされます。
通知が届いた段階なら、期限内に登記か届出をする
期限前で、まだ解散の登記がされていない段階なら、期限までに次のどちらかをすれば、解散したものとみなされることを防げます。営業を続けている会社は、本来の役員変更などの登記をすませるのが確実です。なお、期限を過ぎると、登記官が解散の登記をする前でも解散したものとみなされ、そのあとに届出をしても解散を防ぐことはできません。
- 必要な登記の申請
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任期が切れたままの役員の変更登記など、本来しておくべき登記を期限内に申請する方法。登記がされれば、整理の対象から外れます
- 事業を廃止していない旨の届出
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通知書に同封された届出書などの書面で、「まだ事業を廃止していない」ことを本店の所在地を管轄する登記所に届け出る方法。代理人が届け出る場合は委任状を添付します
ただし、届出をしても、役員の変更登記などをする義務はなくなりません。届出は今回の整理で解散したものとみなされないようにするためのもので、未了の登記をそのままにすると、翌年度以降も整理の対象になることがあります。届出をした場合も、続けて必要な登記をすませておく必要があります。
また、実際に事業をやめている会社が、解散を避けるためだけに届出をすることはできません。事業を続ける予定がない場合は、解散と清算の手続きを検討します。期限が近く、登記の準備が間に合うか分からない場合は、通知書を手元に置いて早めにご相談ください。
みなし解散された会社を継続する手続き
解散したものとみなされてから3年以内で、清算が結了していなければ、株主総会の決議によって会社を継続できます。ただし、継続を決議するだけでは元に戻りません。清算人の登記、取締役などの選任、継続の登記をあわせて行う必要があります。
- 解散した日と継続できる期限を確かめる
登記事項証明書で、解散したものとみなされた日を確認します。会社継続ができるのは、その時から3年以内です。すでに清算が結了している会社は、継続できません。
- 定款・株主・役員・過去の登記を調べる
定款、株主名簿、過去の株主総会議事録、登記事項証明書で、今の株主は誰か、何株を持っているか、定款で取締役会や監査役を置いているかを確かめます。株主総会を開いて決議できる状態にあるかを判断するためです。
- 清算人を確定する
みなし解散では、登記官が解散の登記をするだけで、清算人は登記されません。定款や株主総会で別に定めていなければ、解散した時の取締役が清算人になります。継続の登記の前提として、清算人と代表清算人の登記も必要です。
- 株主総会で会社継続を特別決議し、取締役を選任する
会社継続は、議決権を行使できる株主の議決権の過半数を持つ株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要な特別決議で決めます(定款で定足数などを変えている場合があります)。あわせて、継続後の取締役を選任し、取締役会を置く会社は代表取締役も選びます。
- 決議から2週間以内に継続の登記を申請する
継続を決議した日から2週間以内に、本店の所在地を管轄する法務局へ、継続の登記を申請します。清算人と代表清算人の就任の登記、取締役と代表取締役の就任の登記、取締役会を置く会社はその旨の登記も、あわせて申請します。
昔の役員がそのまま戻るわけではない
みなし解散の登記がされると、取締役と代表取締役の登記、取締役会を置いている旨の登記は抹消されます。会社を継続しても、これらが自動的に元に戻ることはありません。以前と同じ人に取締役を続けてもらう場合でも、株主総会で改めて選任し、就任の登記をします。
そのため、役員の変更登記だけを申請しても、会社は継続しません。会社継続の決議と継続の登記が必要です。取締役会や監査役を置くかどうかは、継続の機会に見直すこともできます。
株主や以前の代表者が亡くなっている場合
株主が亡くなっている場合は、その株式を相続した人が株主総会で議決権を行使します。相続人が複数いて遺産分割がまだのときは、相続人の中から議決権を行使する人を1人決めて、会社に通知する必要があります。株式の相続関係の確認からお手伝いします。
解散した時の取締役が亡くなっていて清算人になる人がいない場合は、株主総会で清算人を選任します。株主総会で選任できないときは、裁判所に清算人の選任を申し立てる方法もあります。どの方法が取れるかは、株主と役員の状況によって変わるため、資料をうかがったうえでご案内します。
会社を継続できるかどうか、まず確認します
通知書と登記事項証明書があれば、継続できる期限と必要な登記を確認できます。定款や株主名簿が見当たらない場合も、手元の資料をもとに事務所またはオンラインでご相談いただけます。
会社を続けずに終える場合の清算
会社を継続しない場合でも、みなし解散で手続きが終わるわけではありません。解散した会社は清算の段階に入り、清算が結了するまで、清算の目的の範囲で存続します。清算人が財産と債務を整理し、清算が終わったら清算結了の登記もします。
- 清算人を確定し、登記する
定款や株主総会で別に定めていなければ、解散した時の取締役が清算人になります。清算人と代表清算人の就任の登記をして、清算の手続きを進められる状態にします。
- 財産と債務を調べ、株主総会の承認を受ける
清算人は、会社の預金、不動産、売掛金などの財産と、借入金や未払金などの債務を調べ、財産目録と貸借対照表を作って株主総会の承認を受けます。
- 債権者に官報公告と個別の催告をする
会社の債権者に対して、2か月以上の期間を定めて債権を申し出るよう官報に公告し、分かっている債権者には個別に知らせます。この期間中は、原則として債務を支払えません。
- 債権の回収・債務の支払い・残った財産の分配
売掛金などを回収し、財産を換金して債務を支払います。債務をすべて支払ったあとに残った財産があれば、株主に分配します。
- 決算報告の承認と清算結了の登記
清算の事務が終わったら決算報告を作り、株主総会の承認を受けます。承認の日から2週間以内に清算結了の登記を申請すると、会社の登記記録が閉鎖されます。
債権者への公告の期間が2か月以上あるため、清算人の登記から清算結了の登記まで、少なくとも2か月余りかかります。会社名義の不動産がある場合は、売却や名義変更の登記も必要です。
みなし解散で借金や不動産がなくなるわけではない
解散したものとみなされても、会社の財産や借金が消えるわけではありません。会社名義の不動産や預金はそのまま会社に残り、清算の中で整理します。借入金などの債務も、清算の中で支払う必要があります。
また、解散の登記から10年がたつと、登記官が登記記録を閉鎖することがありますが、これは清算が終わったことを意味しません。財産が残っていれば、清算を結了していない旨を申し出て、清算を続けることになります。
会社の財産で債務を払いきれない場合や、債権者との間で争いがある場合は、通常の清算だけでは終えられないことがあります。この場合は、弁護士と連携して進め方を検討します。なお、代表者が会社の借入れの連帯保証人になっている場合、その保証の責任は会社の清算とは別に残ります。
費用・必要書類・期間の目安
会社継続にかかる費用は、法務局に納める登録免許税と、専門家に依頼する場合の報酬に分かれます。登録免許税は、継続の登記だけでなく、あわせて申請する清算人や取締役などの登記の分もかかるため、会社の状況によって合計額が変わります。
会社継続の登録免許税
| 登記の種類 | 登録免許税 | 必要になる場合 |
|---|---|---|
| 継続の登記 | 30,000円 | 会社を継続するとき(必ず必要) |
| 清算人・代表清算人の登記 | 9,000円 | みなし解散後に清算人を登記するとき |
| 取締役・代表取締役の登記(役員変更) | 10,000円(資本金1億円超は30,000円) | 継続後の取締役などを登記するとき |
| 取締役会などに関する登記 | 30,000円 | 取締役会を置く会社や、監査役会などの機関を変更する会社 |
| 合計の例 | 49,000円〜 | 資本金1億円以下で、もともと取締役会を置いておらず機関も変えない会社の例。取締役会を置く会社は79,000円〜(機関を変更する場合などは変わります) |
このほか、登記事項証明書や印鑑証明書の取得費用がかかります。会社を継続せずに清算する場合は、清算人の登記(9,000円)と清算結了の登記(2,000円)の登録免許税、債権者への官報公告の掲載料が必要です。当事務所の報酬は、継続か清算か、株主と役員の状況、調べる必要のある過去の登記の量によって変わるため、資料をうかがったうえでお見積りします。
過料は登記の費用とは別
役員の変更登記などを期限内にしていなかった場合、会社の代表者などが裁判所から過料の決定を受けることがあります。会社法では100万円以下と定められており、金額や過料を科すかどうかは裁判所が判断します。登録免許税や当事務所の報酬とは別のもので、登記をしたからといって必ず免除されるわけでも、必ず科されるわけでもありません。
ご用意いただく資料
- 通知書
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登記所から届いた休眠会社の整理の通知(届いている場合)
- 登記事項証明書
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解散の日付と、最後の登記の内容を確かめるもの
- 定款
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取締役会・監査役の有無、役員の任期、株主総会の決議の定めを確かめるもの
- 株主名簿・過去の議事録
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今の株主と持株数、過去に選任された役員を確かめるもの
- 役員になる人の本人確認書類・印鑑証明書
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清算人・取締役・代表取締役に就任する人のもの。必要な人と通数は会社の機関によって変わります
定款や株主名簿が見当たらない場合も、そのことを含めてお知らせください。設立時の定款は、公証役場に保管の記録が残っていれば、写しを取り寄せられることがあります。ただし、公証役場にあるのは設立時の定款で、その後の定款変更は反映されていないため、過去の株主総会議事録や登記の記録とあわせて今の定款の内容を確かめます。清算する場合は、これに加えて、会社の財産と債務が分かる資料(決算書、通帳、借入れの契約書など)が必要です。
期間の目安
資料がそろっていて株主総会をすぐに開ける会社なら、ご相談から継続の登記の申請まで2〜3週間程度が目安です。定款が見つからない、会社のこれまでの経緯が分からない、株主が亡くなっているといった場合は、株主や役員、過去の登記の調査に時間がかかるため、さらに長くなります。なお、会社法の「3年」は会社継続を決議できる期限、「2週間」は決議から継続の登記を申請するまでの期限で、手続きにかかる期間の目安ではありません。
当事務所の解決事例
登記事項証明書で解散に気づいた家族経営の会社を、期限内に継続
家族で経営している株式会社で、登記事項証明書を取得したところ、休眠会社の整理によって解散したものとみなされていたことが分かりました。会社は営業を続けており、継続できる期限内に、株主総会での会社継続の決議と役員の選任を行い、継続の登記を申請しました。会社は引き続き事業を続けています。
よくある質問
あります。対象になるかどうかは営業の有無ではなく、最後の登記から12年がたっているかどうかで決まります。役員の変更登記を長くしていなければ、営業中の会社にも通知が届きます。期限前なら、必要な登記か届出で解散を防げます。
解散したものとみなされた時から3年を過ぎると、株主総会の決議による会社継続はできません。会社は清算の段階にあるため、残った財産や債務は清算の中で整理します。事業を続けたい場合は、新しく会社を設立して事業を移すなど、別の方法を会社の状況に合わせて検討します。
手続きはできますが、準備に時間がかかります。株主が亡くなっている場合は、株式を相続した人が議決権を行使し、相続人が複数いれば議決権を行使する人を1人決めて会社に通知します。清算人になる人がいない場合は、株主総会で清算人を選任します。戸籍などで相続関係を確かめる必要があるため、早めにご相談ください。
不要にはなりません。税務署や市役所への休業の届出と、法務局の登記は別の手続きです。休業の届出をしていても、役員の任期が来れば変更登記が必要で、最後の登記から12年がたてば休眠会社の整理の対象になります。
なくなりません。会社名義の不動産や預金、借入金などの債務は、解散したものとみなされた後も会社に残ります。会社を続けない場合は、清算の中で財産を換金し、債務を支払ってから清算結了の登記をします。
戻せません。すでに解散したものとみなされた会社は、株主総会で会社継続を特別決議し、継続の登記をする必要があります。あわせて、清算人の登記と、継続後の取締役などの就任の登記をします。期限前で解散の登記がされていない段階なら、役員変更の登記で整理の対象から外れます。
休眠会社の整理・会社継続のご相談
当事務所では、休眠会社の整理の通知が届いた会社や、すでに解散したものとみなされた会社について、次の範囲でお手伝いしています。
- 登記事項証明書・定款・株主の状況を確かめ、継続できるかどうかと必要な登記を判断
- 期限前の会社の役員変更登記、事業を廃止していない旨の届出の作成
- 会社継続の株主総会議事録などの書類の作成と、清算人・継続・役員の登記の申請
- 株主が亡くなっている場合の相続関係の確認
- 会社を続けない場合の清算人の登記、債権者への官報公告の手配、清算結了の登記
清算の中での税務申告は税理士と、債務を払いきれない場合や争いがある場合は弁護士と連携して進めます。
通知書や登記事項証明書を見ながらご相談ください
会社を続けたいか終えたいか、今の営業の状況をお知らせください。定款や株主名簿が見当たらない場合も、手元の資料からご相談いただけます。事務所での面談のほか、遠方の方や外出が難しい方はオンラインでもご相談いただけます。
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