外国会社の日本における子会社(日本法人)の設立は、基本的には日本の会社の設立ですから、日本の会社法に定められた手続を取ることになり、手続の流れは、日本における他の会社設立と同じです(株式会社の設立、合同会社の設立)。
但し、外国会社が発起人となり設立するため、次のとおりいくつか注意する点があります。
- 資本金の送金にあたって、国または業種によっては事前に外為法の届出が必要になります。届出が不要な場合でも、設立後に外為法の報告が必要です。
- 資本金の送金手続が煩雑。資本金を受け入れるための日本の銀行に口座が必要。確実に円で資本金の額が入金されるようにする。
- 定款作成のために事前に本国の会社の内容を確認するため、本国の書類を用意し、必要に応じて宣誓供述書等を作成する必要があります。
- 本国での必要書類へのサイン等、通常の内国会社の設立より時間を要します。
日本法人設立の流れ
設立の事前準備
STEP1 設立事項の検討
まずは、日本法人の会社の内容を検討し決定します。
例えば、日本法人の名称、本店、役員、事業の内容、資本金の額などです。
許認可が必要な事業を行う予定がある場合、設立後に許認可が取得できるように、また、外国人の方が役員として来日する予定がある場合、在留資格が取得できるように、設立事項を決定します。
STEP2 外為法の検討
事業内容や国によっては外為法の事前届出が必要になる場合があります。事前届出が必要になるときは、届出をして30日を経過するまで設立登記ができません。
そのため、外為法の事前届出の要否を検討します。
事前届出が必要な場合は、設立登記申請日より前6か月以内に外為法の届出をします。
事前届出が不要な場合は、設立後に外為法の事後報告をします。
STEP3 本国から書類の取り寄せ
日本の会社が子会社を設立するため設立時の定款について公証人から認証を受ける際、公証役場に会社の登記事項証明書を提出します。
外国会社の場合、「設立証明書」「営業許可書」「登記事項証明書」など国によって用意できるものを揃え、さらに必要に応じて「宣誓供述書」を作り本国で認証を受け、これらを公証役場に提出します。
また、定款認証の際、外国会社の代表者のサイン証明書も必要なので、これも用意します。
設立手続き
STEP4 定款の作成、認証
設立事項が決定したら、当事務所で定款の案を作成します。
定款は日本語で作成しますが、必要に応じて外国語に翻訳もいたします。
定款の内容が確定したら、定款作成と認証の委任状に外国会社の代表者の方の署名をいただきます。
必要な書類が揃い次第、公証役場で定款の認証を受けます。
定款認証の費用は定款に定める資本金の額により次のとおり異なります。ただし、在留資格の関係で資本金の額を500万円以上と定めることが多いので、定款認証費用は通常は5万円です。
定款に定める資本金の額 | 定款認証費用 |
100万円未満 | 30,000円 |
100万円以上300万円未満 | 40,000円 |
300万円以上 | 50,000円 |
STEP5 出資金の払い込み
定款作成後に、出資者から出資金を銀行口座に払い込みます。
POINT 払込先の銀行口座は、発起人または設立時の代表取締役の名義であることが必要です。
また、出資金の払い込みをする銀行は、日本国内の銀行の本支店(外国銀行を含む)または日本の銀行の海外支店です。
海外からの日本の銀行に送金する場合、確実に円建てで予定された資本の額が入金されるようにして下さい。
STEP6 設立登記の申請
全ての書類が揃ったら、管轄の法務局に設立登記を申請します。
登記申請の日が、日本における子会社成立の日となります。
登記は一週間程度で完了します。
設立後の手続き
STEP7 各種届出、報告
外為法の報告、その他官公署への各種届出をします。
在留資格(ビザ)について
日本における子会社に勤務する外国人の方は、その勤務形態に応じて必要な在留資格を得る必要があります。
いくつか例を挙げると次のようになります。
- 代表取締役などの経営・管理を行う方 → 経営管理
- 本国から期間を定めて転勤(1年以上勤務していた方) → 企業内転勤
- その他 → 技術・人文知識・国際業務
当事務所のサポート内容
日本法人設立からビザ申請まで誰に依頼する?
日本法人の設立から在留資格(ビザ)の申請までは、司法書士と行政書士を兼業している事務所に依頼するのが一番負担が軽くて済みます。
POINT というのも、会社は設立登記により成立しますが、会社設立の登記は司法書士の業務です。一方、ビザや営業許可の申請は行政書士の業務です。司法書士と行政書士を兼業している事務所であれば、これらの手続きを一か所でまとめて依頼できるからです。
注意 行政書士専業の事務所が「ビザと会社設立の手続きをどちらも行う」と宣伝しているところもありますが、行政書士は登記申請書を作成したり登記申請を行ったりすることができません。したがって、行政書士に会社設立を依頼すると、自分で登記申請書を作成して登記申請をするか、登記だけ別に司法書士に依頼する必要があります。
メリット その点、司法書士事務所神戸リーガルパートナーズは、司法書士と行政書士の両方の資格を有していますので、会社の設立手続だけでなくビザ取得や各種許認可の申請手続までワンストップでサポートいたします。
当事務所のサポート内容
- 外国会社の日本法人設立の会社設立手続き
- 外国で認証を受ける必要がある書類の作成
- 経営管理の在留資格取得の手続き
- 営業の許可等が必要な場合の許認可申請手続き
- 外為法の届出または報告
- 文書の翻訳(英語、中国語)
- JETROのサポートによる各種インセンティブ
司法書士事務所神戸リーガルパートナーズはJETROの登録相談員です。外国会社が神戸・大阪に進出されるときはJETROのサポートを受けることができ、家賃補助や設立費用の補助などのインセンティブを受けることができます。
日本法人(子会社)設立費用
外国会社の日本法人設立 | 株式会社設立 | 合同会社設立 |
定款認証手続・定款謄本 | 50,000円 | 0円 |
登録免許税 | 150,000円 | 60,000円 |
当事務所報酬(税込) | 330,000円〜 | 330,000円〜 |
総合計 | 530,000円〜 | 390,000円〜 |
注)上記報酬は、会社設立の必要書類の作成(日英)、会社設立登記申請だけではなく、定款認証の際に必要となる外国会社の証明書(宣誓供述書等)の作成費用、外為法の事前届出要否の検討、外為法の届出・報告を含みます。詳しくはご依頼のときに見積もりいたします。
定款認証費用は、定款に定める資本金の額により異なります。
資本の額が2143万円以上のとき、登録免許税は資本の額の1000分の7になります。