自己破産しても生活保護には影響がない?借金と生活保護の関係

  • 生活保護でも自己破産できるの?
  • 自己破産しても生活保護は受け取れるの?
  • 生活保護と自己破産はどちらを先にすればいいの?
  • 生活保護費から借金の返済を続けられますか?
  • 生活保護で自己破産の費用はどうやって出せばいいの?

借金の支払いが苦しくなって債務整理の相談をお聞きしていると、中には生活保護の方や生活保護を必要としている方がいらっしゃいます。

生活保護も自己破産もまことしやかな噂に基づく誤解も多く、生活保護と自己破産の関係、借金と生活保護の関係について、さまざまな質問を受けることがあります。

生活保護では借金の返済をすることはできず、借金がある場合には原則として自己破産することになります。また、自己破産の費用は法テラスを利用すれば、生活保護の方は費用の負担はありません。

ここでは、自己破産と生活保護の関係について詳しく説明します。

自己破産と生活保護の関係

自己破産とは

自己破産は、借金の支払いができなくなったときに、裁判所に申し立てをして、借金を帳消しにしてもらう制度です。一定額以上の財産は借金の返済に充てますが、生活必需品など今後生活を維持するために必要なものは手元に残すことができます。

借金を帳消しにするなんて虫がいいと思う人もいるようですが、国が法律で認めた制度で、借金から抜け出して再出発をするための制度です。

生活保護とは

生活保護は、国が定めた最低生活費の収入が無い方について、国が最低限の生活費を支給する制度です。

生活保護は、資産の活用(資産がないこと)、能力の活用(働ける人は働く)、生活保護以外の制度で利用できるものは全て利用(年金や手当)、扶養義務者から援助を受けられるときは扶養してもらう、という4つの条件を全てクリアして、それでも最低生活費の収入が得られないときに受給できます。

生活保護でも自己破産できる

生活保護受給中でも自己破産はできます。

むしろ、生活保護受給中の方の借金の整理は、自己破産が原則です。

というのも、生活保護では生活に費用な最低限の金額しか支給されませんので、借金を返済する整理方法は取ることができません。

生活保護では収入は限られていますし、資産がないことも明らかですので、借金の金額が少なくても自己破産が認められやすいです。実際に、当事務所のケースでも100万円以下の借金で自己破産が認められています。

また、自己破産したことが生活保護に影響することはありません。

自己破産後でも生活保護申請できる

自己破産すると生活保護はもらえないと考える方もいらっしゃいますが、そんなことはありません。

収入や資産が生活保護の条件を満たしていれば、自己破産後であっても生活保護は受給できます。

生活保護と自己破産はどちらが先か

生活保護を必要とするほど生活に困っていて、同時に借金の支払いにも困っているとき、どちらを先にすれば良いでしょうか?

借金がある状態で生活保護の申請をすると、「まず借金の整理をするように」と言われます。しかし、自己破産するには、司法書士や弁護士に依頼しても一定の期間が必要です。その間、生活保護を受給しないで生活をすることは難しいのではないでしょうか。

また、生活保護を受給していると、この後で説明する法テラスを利用すると、自己破産費用を負担する必要がありません。ですから、自己破産より先に生活保護を受けている方が望ましいです。

実際には、自己破産を依頼する司法書士・弁護士に相談しながら、自己破産と生活保護申請を同時並行で進めていくのが良いでしょう。

借金と生活保護の関係

借金があっても生活保護の申請はできる

借金があっても生活保護の申請はできます。

生活保護の申請をして、収入や財産が生活保護を受ける条件に合っていれば、生活保護を支給する決定がされます。

では、生活保護を受給しながら借金の返済を続けられるかというと、それはできません。

生活保護費は生活に必要な最低限の金額しか支給されないので、生活保護費から借金の支払いをするのは困難です。

また、生活保護申請の際に借金があるかどうかを聞かれ、借金がある場合には借金を整理するように指示されます。つまり、生活保護を受給する際に借金がある場合は債務整理をしなければなりません。そして、生活保護受給の後で、きちんと債務整理の手続が取られているかどうかの確認をされることもあります。

要するに、借金があっても生活保護の申請はできるし、条件を満たしていれば生活保護は支給されますが、生活保護を受給する際には借金を整理することが求められます。

生活保護費で借金の返済はできない

生活保護費は、最低限度の生活を維持するために支給されるものです。

そのため、生活保護費を借金の返済に回すことはできません。

また、生活保護費を借金の返済に充てたことが福祉事務所に分かると、返済した金額は不正受給とみなされて、後で返還しなければなりません。

生活保護受給中に借金はできるか

生活保護でも借金ができるかということであれば、個人的な借金はできるかもしれませんし、貸金業者の中にも生活保護受給中の方に貸すところもあるので、借金をすることはできます。

借金をすることはできますが、生活保護受給中に借金をしてはいけません。生活保護受給中に借金をすると、生活保護で面倒なことになってしまうからです。

生活保護受給中の借金は、収入認定されてしまうので、借金をした金額分は生活保護費から差し引かれてしまいます。また借金をしたことを隠していると、収入を隠していることになるので、その分が不正受給となり、後で不正受給分を返さなければなりません。

どちらの場合も、借金をした金額は生活保護費から差し引かれ、借金は返済しなければならないので、二重に負担になります。

生活保護を受給していると自己破産費用が免除される

生活保護を受給しているのに、自己破産を依頼する司法書士や弁護士の費用を払えないと心配になるかもしれません。

生活保護を受給している方を含め収入や資産が少ない方は、日本司法支援センター(法テラス)を利用して、自己破産の費用を立て替えてもらうことができます。

立て替えなので、本当は返済(償還)しないといけないのですが、生活保護の場合は償還を免除してもらうことができます。

具体的には、立て替えを受けるときには法テラスへの償還を待ってもらい(償還猶予)、自己破産の手続きが終わったときにも生活保護を受けていれば、法テラスに償還の免除申請をして免除してもらう流れになります。

また、法テラスが立て替えるのは、本来は司法書士・弁護士の報酬ですが、生活保護で自己破産される方の場合には、裁判所に納める予納金も立て替えてもらえます。

したがって、生活保護受給者の場合、法テラスを利用して自己破産すると費用の負担はありません。

まとめ

生活保護の方が自己破産することはできますし、自己破産後に生活保護申請をすることもできます。

生活保護費から借金の返済をすることはできないので、借金を抱えたまま生活保護申請をするときは、同時に自己破産の手続きも進める必要があります。

また、生活保護を受けている方は、法テラスを利用することで、自己破産費用の負担はありません。

司法書士事務所神戸リーガルパートナーズは、生活保護の方からの自己破産の相談をこれまでも多数受けてきました。

生活保護を受けているが借金があってその返済が苦しい、収入が無くて借金の返済ができない、自己破産と生活保護の両方を考えているという方は、お気軽にお問い合わせください。

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現在、債務整理の新規受任はしておりません。大変申し訳ございませんが、司法書士会の無料相談、法テラス等をご利用ください。