自己破産すると会社はどうなる?バレる?クビになる?辞めなきゃいけない?

  • 自己破産すると会社にバレますか?
  • 自己破産がバレると会社をクビになりますか?
  • 自己破産すると仕事を辞めないといけませんか?

自己破産の相談では、このような質問を受けることが多いです。

私たちは自己破産など債務整理の相談に関わって15年以上ですが、いつの時代もみなさん同じおような悩みを抱えていて、会社や仕事への影響を心配されます。自己破産を考えるほどお金に困っているのに、仕事を失うようなことになるとさらに困窮してしまいますものね。

基本的には自己破産をしても会社にバレることはありませんし、自己破産をしても仕事を辞める必要もありません。

ただし、例外もあって、自己破産を会社に知られてしまうこともあります。自己破産が会社に知られるのが困る場合は、別の債務整理方法が取れないかを検討することになります。

ここでは、自己破産するとどういう場合に会社に知られてしまうか、会社に知られたときにクビになってしまうのか、自己破産以外の債務整理方法について説明します。

自己破産しても会社にバレることはない

自己破産をしても、それが会社に知られることは基本的にありません。

自己破産の手続きは裁判所で行いますが、裁判所が自己破産したことを会社に通知することはありませんし、債権者も自己破産したからといって会社に連絡することはありません。

私たちの事務所でも、これまでに何件も自己破産の書類を作成して裁判所に提出しましたが、自己破産した後で「会社にバレた。」と言って来られたケースはありません。

ただし、例外的に自己破産したことが会社に知られてしまうこともあります。

自己破産が会社にバレるケース

会社から借り入れがある場合

会社からの借り入れがあるときは、確実に会社に破産することがバレてしまいます。

会社から借り入れがあるときは、お金を借りている金融業者と同じように会社を債権者として裁判所に届け出ないといけません。破産手続きで会社を債権者として届け出ることで、破産したことの通知が裁判所から会社に送られてしまうので、破産したことが会社に知られてしまいます。

会社をはずして破産申立できませんか?と聞かれることもありますが、それはできません。

会社をはずして破産申立できない理由は2つあります。1つは、隠して会社に払い続けた行為を後で取り消される可能性があること、もう1つは破産しても借金が帳消しにならない可能性があることです。

もう少し詳しく説明しますね。

破産するときには、債権者を平等に扱わなければならないとされています。会社だけ隠して払い続けることは、この債権者平等の原則に反することになります。

会社だけ隠して払い続けていることが後に発覚すると、裁判所が破産管財人を選任して、会社に払った分を会社から取り戻すという事態になるかもしれません。そうなると、ますます会社内での立場がなくなってしまいます。

また、破産するときには、負債や財産の状況を正直に裁判所に提出しなければなりません。債権者を隠して裁判所に嘘の届け出をする行為は、破産法で免責不許可事由とされています。つまり、破産しても免責されず、借金が残ってしまう可能性があります。なんのために破産したのかわからなくなりますよね。

そのため、会社から借り入れがあるときは、自己破産することを先に正直に会社に報告しておく必要があります。

会社を介して労金や共済などから借り入れがある場合

会社の労働組合を通して労働金庫から借り入れをしている場合や、共済組合から借り入れをしている場合にも、自己破産すると会社に知られてしまう可能性があります。

労金や共済からの借り入れは、給料から天引で返済しているのが一般的です。

自己破産の準備のために司法書士や弁護士が受任通知を送ると、労金や共済は給料からの天引きによる返済を止める手続きをします。会社に給料からの天引きを止めるよう通知が行きますが、このときに債務整理のためと理由を書かれると、会社に借金の整理をしていることが分かってしまいます。

労金や共済を隠して破産できるかというと、上で説明した会社だけ隠して破産できないのと同じです。

退職金見込額証明書を取得するとき

破産の申し立てをするときに、正社員として5年以上働いているときは会社の退職金の見込額証明書を裁判所に提出しなければなりません。

退職金見込額証明書は、今会社を自己都合で辞めたときに退職金がいくら支払われるかということを書いた書類です。

退職金見込額証明書を会社に依頼するときに、「何に使うのか?」と聞かれることがありますが、住宅ローンの審査で必要というように説明して出してもらうこともあります。

どうしても会社に依頼しにくいという場合、会社の就業規則の中に退職金規程があれば、退職金規程をコピーして、規程に基づいて自分で計算する方法もあります。きちんと資料に基づいて計算していれば、裁判所は会社の証明書まで重ねて要求することはありません。

給料を差し押さえられたとき

借金の返済が滞っている期間が長くなると、債権者から裁判を起こされ、給料を差し押さえられることがあります。給料を差し押さえられると、差し押さえの通知が裁判所から会社に行くので、会社に知られてしまいます。

差し押さえの通知は、あなたより先に会社に送られるので、会社の担当者に呼び出されて初めて差し押さえられたことを知ることになります。

差し押さえられてしまうとどうしようもないので、給料を差し押さえされることがないように自己破産の手続きを迅速に進める必要があります。司法書士や弁護士に依頼すると支払いをストップできて一息つけるのはいいのですが、その状況に甘えて手続きに時間がかかると債権者から裁判を起こされることがあるので、注意しましょう。

官報を見られたとき

自己破産すると官報に破産した人の住所や氏名が載ります。

あなたの破産情報が載った官報を見られてしまうと、自己破産したことがわかってしまいます。

しかし、官報をつぶさに見ているのは非常にまれなので、官報から自己破産したことが会社に知られることは普通ありません。

資格制限がある職業の場合

自己破産をすると、免責決定が確定するまでの間一定の職業に就くことができなくなります。

例えば、生命保険募集人とか宅建取引士、警備員などです。

こういった資格制限のある職業に就いている場合、自己破産をしても業務を行うことは違法です。会社に正直に話して、免責までの間、資格を使わない業務に担当を変えてもらう必要があります。

資格制限がある職業に就いている場合には、会社に自分で言うしかなく、自己破産したことが会社に知られてしまいます。

資格制限がある職業の場合、一定期間その資格を活かした業務を行うことができないので、影響は大きいです。会社に知られる知られないの問題ではなく、債務整理をしながら職業を続けられるように、自己破産以外の方法を検討することが多いです。

自己破産しても会社をクビになることはない

自己破産をしたことが会社にバレてしまったとしても、自己破産を理由にクビになることはありません。

自己破産を理由とする解雇は、不当な解雇とされるからです。

自己破産をして会社をクビになることはなくても、会社に居づらくなったり、左遷されたり、将来のリストラの候補になってしまうということは考えられます。

できれば、会社に知られないように借金を整理したいと誰でも思うところです。自己破産をして会社に知られる可能性があるときは、自己破産以外の方法で会社に知られないで借金の整理ができるかどうか、それも検討する必要があるでしょう。

会社にバレる可能性があるときは自己破産以外の債務整理方法

自己破産以外の債務整理の方法として、任意整理個人再生があります。

任意整理は、借金の元金を分割で支払い整理方法です。借金の額が多いと任意整理は厳しくなります。

任意整理が可能であれば、会社からの借り入れはそのままにして、他の借金だけを整理するといったこともできます。また、任意整理では。会社から退職金見込額証明書を取得する必要はなく、官報に載ることもなく、資格制限もありません。

任意整理について詳しく 任意整理

個人再生は、元金を一部カットして分割で支払う方法です。元金をカットできるので、借金の額が多くて任意整理が難しくても個人再生だったら可能になるかもしれません。

個人再生は裁判所の手続きで、退職金見込額証明書を提出する必要があり、官報にも掲載されます。しかし、資格制限にはかからないので、資格制限がある職業の場合、個人再生を選べばそのまま仕事を続けることが可能になります。

個人再生について詳しく 個人再生

まとめ

自己破産をしても、会社に知られることは通常はありません。

ただし、事情によっては、自己破産したことが会社に知られてしまうことがあります。それは次のような場合です。

  • 会社から借り入れをしている場合
  • 会社を通して労金や共済から借り入れをしている場合
  • 退職金見込額証明書を取得するとき
  • 給料を差し押さえられたとき
  • 官報を見られたとき
  • 資格制限がある職業に就いているとき

自己破産したことが会社に知られてしまっても、自己破産したことを理由にクビになることはありません。

ですが、会社に居づらくなることもあるので、自己破産を会社に知られる可能性があるときは、自己破産以外の任意整理や個人再生といった方法を検討すると良いでしょう。

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