根抵当権の債務者を縮減的に変更するときの登記権利者義務者

根抵当権の債務者を
A・B→A
のように縮減的に変更する登記申請を「登記権利者 根抵当権設定者」「登記義務者 根抵当権者」として申請していたところ、管轄法務局から「登記権利者と義務者が逆だから補正せよ。」との連絡がありました。

他の法務局ではそれで完了していたんですけどね・・・

ということで、ちょっと整理してみます。

「根抵当権の債務者の変更の登記は、根抵当権者が登記権利者、根抵当権設定者が登記義務者となって申請する。」のが原則です(昭和46年10月4日民事甲第3230号民事局長通達第4)。

また、登記研究398号質疑応答5892で「債務者A・BをAと変更する根抵当権の変更の登記を申請する場合の登記権利者は根抵当権者であり登記義務者は根抵当権設定者である」としたものがあります。

ここまでは法務局のおっしゃるとおり。

しかし、その後登記研究405号質疑応答5972で「根抵当権の債務者をA・BからAに縮減的に変更する場合は根抵当権設定者が登記権利者、根抵当権者が登記義務者とする」との取扱いが示されて、「上記の登記研究398号質疑応答5892はこの質疑応答によって変更する。」とされています。

さらに、登記研究405号質疑応答5972について登記研究586号登記簿「根抵当権の債務者の変更登記の申請人」(実務から見た不動産登記の要点Ⅲ)で次のように述べられています。

この質疑応答の趣旨は、債務者の縮減的変更登記を債権の範囲の縮減的な変更の登記と同視したものと考えられる。現在の登記実務は、全国的にこの取扱いで統一されているのではないかな。

ということですので、根抵当権の債務者を縮減的に変更する登記の申請人は、登記権利者が根抵当権設定者で登記義務者が根抵当権とするのが全国的な取扱いとなっているとのことです。

で、冒頭の補正指示ですが、このあたりの根拠を示したところ、そのまま完了していました。