会社の登記事項証明書を外国に提出するとき

外国の機関に会社の登記事項証明書を提出することは、今や珍しいことではありません。

会社の取引が国際化し、新たに外国の会社と取引を始めるときや、外国で銀行の口座を開設するとき、外国に子会社を設立するときなどに会社の公的な証明(登記事項証明書)を求められることがあります。

このような場合に、日本の法務局で発行された登記事項証明書をそのまま先方に渡せば済むかというと、そうではありません。

中には、緩い感じで、日本で発行された登記事項証明書をそのまま渡すだけで良いというケースもあるかもしれません。

しかし、一般的には、外国の方が日本の公文書を見ても、それが正規の公文書であるかどうかは分からないでしょうし、また、日本語で書かれた文書を見ても、それを読んで内容を理解することができないでしょう。

そこで、間違いなく日本の公文書である証明とか、翻訳文についても間違いないという何らかの証明が必要になってくることがあります。

外務省のアポスティーユ、公印確認

「間違いなく日本の公文書ですよ」と外務省が証明してくれる制度があります。「アポスティーユ」とか「公印確認」と呼ばれるものです。

アポスティーユと公印確認は、似たような手続きですが、意味合いは若干異なります。

提出先が「外国文書の認証を不要とする条約(ハーグ条約)」に加盟している国であるときはアポスティーユを取得し、ハーグ条約に加盟していないときは外務省で公印確認を取得して、提出国の大使館または領事館で「領事認証」を受けます。

また、提出先で日本語の文書を読めないため、公文書の翻訳文を求められることもあります。

単に翻訳をして翻訳者の証明があれば良いケースもありますが、翻訳文についても外務省や大使館の証明を求められることがあります。

しかし、翻訳文は私文書なので、そのままでは外務省は証明をしてくれません。あくまでも外務省が証明するのは、正規の公文書についてですから。

そこで、そのような場合は、翻訳文を公証役場で認証してもらい、その上で外務省でアポスティーユを取得します。