めったにないことですが、個人再生の申立てをする段階で給料の差押えを受けていることがあります。その場合、差押えは個人再生との関係でどうなるのでしょうか。
まず、個人再生の申立てをした段階で、再生裁判所に対して強制執行の中止命令の申立てをすることができます。また、再生の開始決定が出ると、差押えは当然に中止します。
強制執行の中止命令の申立てをするかどうかは、申立て後速やかに開始決定が出そうかどうかなどを含めて検討することになるでしょう。
そして、中止命令または再生開始決定が出ても、そのことを執行裁判所は知りませんから、決定書を添付してその旨を執行裁判所に上申します。その後、執行裁判所から、中止した旨が通知されます。
ただし、中止されても停止効しかないので、差押債権者に給料が支払われることはありませんが、債務者の方が給料全額を受け取ることはできません。
この段階で、差押えをした債権者が取り下げをしてくれるといいのですが、そうしてもらえない場合、今度は強制執行の取消の申立てを再生裁判にします。
「再生のため必要がある」と認められれば、再生裁判所で取消決定がなされます。
取消決定の正本を受け取ったら、それをまた執行裁判所に提出。
そうすると執行裁判所は強制執行を停止し、既にした執行処分を取り消します。
これによって、やっと再生債務者は給料を全額受け取れるようになります。
仮に取消決定を受けられなかった場合でも、再生計画に認可が確定すれば、確定によって執行手続は当然に失効し、以後、中止によって支払を留保されていた分を含めて給料を全額受け取れます。
個人的には初めてのケースだったのですが、以下の書籍に詳しい手続や書式例も出ていてとても参考になりました。
個人再生の相談は「個人再生」をご覧ください。