相続人不存在の場合の清算型遺贈の登記

遺言者に相続人がいなかった場合の清算型遺贈による所有権移転登記をしましたので、備忘録として書いておきます。
といっても、ネットで検索すればいくつか記事が見つかるんですけどね〜清算型遺贈とは、遺言者名義の財産を売却して換価し、その代金を誰かに遺贈するというものです。

これが不動産の場合は、登記先例によって、一旦相続を原因として相続人名義にする登記をした上で、買い主に対して所有権移転登記をしなければならないとされています。

では、遺言者に相続人がいない場合はどうなるでしょうか。

この場合は、遺言執行者が選任されていれば、改めて相続財産管理人を選任することなく、相続人不存在を原因として、遺言執行者が相続財産法人名義にする登記をし、その後、遺言執行者と買受人の共同申請によって売買による所有権移転登記をすることになります(登記研究619号219頁)。

では登記原因証明情報はどう書く?と思いましたが、ぴったりな記載例は見当たりませんでした。

今回は「遺言執行者○○は亡何某相続財産名義の不動産を(買い主)に売り渡した。」という感じに記載して、署名欄は、

遺言執行者の住所
亡何某遺言執行者 ○○  印

として、登記申請し、補正もなく無事に完了しました。

ところで、相続管理人の選任の要否ですが、遺贈が包括遺贈の場合は「相続人があることが明らかでないとき」に当たらないので相続財産管理人の選任はできないとされていますが(最判H9.9.12)、特定遺贈の場合は相続財産管理人の選任が必要になり、遺言執行者と相続財産管理人の権限が競合するとされています。