外国に在住している親子間で日本の不動産を贈与した事例

「外国に在住している親子間で日本の不動産を贈与したいと言っている。」

そのような相談が、日本にいらっしゃる身内の方からありました。

ただ、その方も詳しい事情は分からないので、直接話を聞いて欲しいということでしたので、直接連絡をいただくことにしました。

最初メールで少しメールでやりとりした後、Skypeのビデオ通話を利用して、顔を見ながら相談をお聞きしました。

今回贈与するお父様もそのお父様から生前贈与を受けていて、ご自身の死後に相続の手続きをする子どもも勝手が分からず苦労すると思うので、元気な今のうちに子どもに贈与しておきたいということでした。ちなみに、子どもさんは外国籍になっています。

不動産を贈与をすると贈与税が気になるところです。

前回の生前贈与の際に「相続時精算課税制度」を利用して、その申告書が残っていました。今回も使えるのかを税理士に確認したところ、今回も相続精算課税制度は利用できるとの回答で、贈与税の心配はしなくてもよさそうです。

生前贈与による所有権移転登記

一通りの手続きを説明した後、親子間の生前贈与による所有権移転登記を当事務所で受託しました。お父様の住所が変わっていたので、住所変更登記も必要でした。

書類を用意する際、現地の公証人に認証してもらう書類は英文で作成することにしました。具体的には、お父様の住所の変更を記録したものと委任状兼署名証明書、子どもさんの現住所に関する書類です。

税理士とも打ち合わせをして、これら書類の中に相続時精算課税の申告に必要な事項も合わせて盛り込みました。そうすれば、書類が少なくて済みますから。

また、子どもさんは日本語が話せても読み書きは苦手なので、登記原因証明情報は、日本語と英語で併記して作成しました。

書類はPDFにしてメールで送って内容を確認したうえで、送付し、現地で公証人の面前で署名し、認証を受けてもらいました。

書類の原本が届いたところで、英文の書類を日本語に翻訳し、登記申請。登記は無事に完了しました。

外国人の方、海外在住の方の不動産登記は、外国人の不動産売買による名義変更登記をご覧ください。売買でも贈与でも、手続きはほぼ同じです。

今回の案件は登記済証をお持ちだったから良かったですが、これが無いと手続きは大変だったかもしれません。