家族信託を利用して将来の不安を解消した事例

80代のお父様Aさん、Aさんには娘BさんとCさんがいます。

Aさんは奥さんを亡くしてから少し物忘れするようになりましたがまだはっきりとしたご自分の意思をお持ちです。いまは老人ホームに入居されておりBさんがAさんのお金の管理をしています。Aさんの資産は数百万円の預金とご自宅の土地建物です。

Aさんの収入は年金だけで、年金から老人ホームの費用を払うと毎月の収支は赤字になってしまいます。そこで、いずれ自宅は売却して介護費用に充てたいと考えています。

しかし、いますぐ自宅を売却するわけではなく、それまでは人に貸してもいいし貸したときは維持費などの経費を引いて残った利益は介護費用に充てたい。売却しないといけくなれば、そうしたい。けれども、いつまで自分がしっかりしていられるか不安だから、そういうことは娘のBに任せたい。

このようなお悩みの相談でした。

お悩みの問題点と当事務所の提案

今後問題になるのは、Aさんがもしも認知症になるなどして判断力が低下した際に金銭管理や自宅の売却をしようとすれば、成年後見の手続きをとるなどしなければならない点です。

成年後見手続きは複雑で時間がかかるうえ、必ずBさんが後見人になれるとは限りません。成年後見になると、自宅を処分するには家庭裁判所の許可が必要となります。必ずしも、今のAさんの希望どおりになるとは限りません。

そこで、当事務所は、家族信託も一つの方法として提案しました。

家族信託ならAさんとBさんとの間の契約で行え、Aさんの意思はBさんによって実現できます。

信託することによって不動産はBさん名義に変わります。そうすることによって今後賃貸するにしても売却するにしてもBさんが手続きを行うことができAさんが認知症になっても問題ありません。信託契約によって収益はAさんのものとして扱われますから税務上もまったく問題ありません。

解決

Aさんは、悩んだ末に、家族信託の方法を選択しました。

不動産はBさん名義になり、Aさんは安心してBさんに財産を任せています。

Bさんは今不動産を賃貸に出し、その収益から経費を引いた利益をAさんの介護費用に使うよう運用しています。

民事信託